
友人 「この前 引っ越したんだけどさぁ~何か変なんだよね…。」
数年振りに電話を掛けて来た友人が訝しげに言いました。
私 「何かって?」
友人 「うん。たまにさぁ~蝿がね…飛んで来るんだよね~。」
私 「生ゴミ放置してるんじゃないの?」
友人 「あんた 私が料理しないの知ってるでしょ⁉三角コーナーだって買った時のまま 綺麗なもんよ。」
私 「って…何気に自慢?」
友人 「そんな事はいいからさぁ あんたちょっとうちに来てよ。」
私 「えぇ~今から?」
友人 「うん。」
私 「うぅ~っ……最初からそのつもりで電話掛けて来たでしょ?」
友人 「分かってんなら来てよ。」
はぁ……深いタメ息が出た。
この友人に関わるとロクな事が無いので 内心嫌だったけど 仕方無く行くよと答えた。
私 「分かったよ。行くよ。けど私 あんたの家知らないんだけど…?」
友人 「大丈夫、大丈夫。」
私 「何が大丈夫なのよ?」
友人 「今 家出たから 40分くらいで着くよ。」
私 「はぁあ?迎えに来るって?」
友人 「うん。じゃっ車運転するから切るね。」
はぁ……何か会話だけで疲れた。
迎えに来るっていうから 着替えて外出の準備をして 食器類を片付けた。
それから 暫くすると 家の前に車が停まる音がして 私は玄関へと向かっていたら チャイムが鳴った。
(はいはい)と心で返事をしながら ドアを開けると 満面な笑顔で「悪いねっ」と言った。
(悪いとは思ってないだろうがっ‼)と心でツッコミながら ドアに鍵を掛け 友人の車に乗り込んだ。
エンジンを掛け 友人が車を走らせながら 電話で話した続きを話し出した。
友人 「さっきの話の続きなんだけどさぁ…」
私 「うん。」
友人 「別に部屋に何も無いのに たまに 2~3匹飛んで来るんだよね…。」
私 「蝿って どんな蝿よ?」
友人 「でっかい羽音たてて喧しいヤツ。」
私 「でかい羽音って……。銀バエみたいな?」
友人 「多分 そう。」
私 「…………多分ね…。」
そうこうしてるうちに 友人の引っ越したアパートに着来ました。
友人 「ここだよ~」
車を駐車場に停めると 私は友人の後を着いて行きました。
アパートは何処にでもあるような ごく普通のアパートで 外壁の色が淡い緑色で玄関のドアが茶色っぽかったけど 嫌な感じは受けませんでした。友人がドアを開けるまでは……。
友人 「ねっこの辺にも何も無いでしょ?」と言いながら ドアの施錠を解除して ドアを開けた瞬間
私 「!!うっ……。」
後日談:
- 後で警察の方から聞いたのですが…。 友人が住んでいたアパートの二階の左端には 老夫婦と息子さんが住んでいたらしいです。 その息子さんは 働いておらず 老夫婦の年金で生活していたらしいです。 亡くなっていたのは 老夫婦の二人で どちらも腐敗が進み いつ亡くなったのか 病死なのか 事故死なのか 自殺なのか それとも 息子さんに手を掛けられたのか 分からなかったそうです。 老夫婦の遺体は 奥の六畳間の押し入れの下側に折り重なる様に押し込まれていて 腐敗が進むに連れ床板が腐り 更にその体液が下に漏れ出ていたという事でした。 その場所は 私が友人宅の天井で見付けた 黒いシミがあった場所と同じでした。 息子さんは まだ見付かっていません。 でも私は思うのです。 多分 息子さんはもぅ………。
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