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長編

偽リナキ体験談

まなみ 8時間前
怖い 430
怖くない 335
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、男は来たんです。 まっすぐ他には立ち寄らず、婦人服売り場にある、女性用下着売り場のコーナーに。 逃げました。 エスカレーターを駆け足で降りました。 足がもつれこけそうになりながらも、私は走りました。 ですが、私は子供だったのです。 浅はかで、たいした知恵ももたない、衝動的に身動きしてしまう、矮小な子供だったのです。 デパートを出た私は、何を思ったのか、そのデパートの裏に逃げ込んだのです。 そして目の前にある、赤茶けた錆まみれの非常階段を駆け上がったのです。 無我夢中で昇りました。 来ないで、来ないで、来ないで! 何度も胸の内でそう叫びながら、上へ上へと駆け上ったのです。 やがて行き止まると、4Fと書かれた鉄の扉に手を伸ばしました。 ガチャガチャと鈍い金属音が響きます。が、扉は私の意に反して開きません。鍵がかかっていたのです。 当たり前ですよね。ですがそんなことすら、当時の私は予測できなかったのです。 扉のドアノブから手を離しました。一瞬静まり返ります。が、 カンカンカンカンカン、 下から音が響いてきます。 靴音でした。 カチカチと音が鳴ります。私の歯音でした。歯と歯がすごい勢いで触れ合い、カチカチと音をたてていたのです。 膝が折れ、その場に私の体は座り込むように崩れ落ちました。 真ん中の支柱の隙間から下を覗き込みました。 水色の服が、チラチラと見えました。 カンカンカンカン、と、昇ってくる靴音はどんどん近づいてきます。 涙と鼻水で私の顔はぐしゃぐしゃでした。 どうしてこうなったのか、どうすればいいのか?何も考えられません。叫ぶ事すら忘れて、私は嗚咽を漏らしながら、その場にうずくまりました。 が、その時です。 ガチャン、と金属音が鳴ったかと思うと、目の前の鉄の扉が開いたのです。 そしてそこから、デパートの制服を着た20代くらいの男性が現れたのです。 「こんなとこで何してるの?泣いてるの……?何、どしたん!?誰かにいじめられてんの!?」 大きな声で話しかけてくる若い男性。 すると下のほうから、 カンカンカンカン、と、 今度は凄い勢いで下っていく靴音が聞こえたのです。 「何あいつ?なんなん?あいつか?いじめてんの?」 そう言うと若い男性は私の返事も待たずに、急いで階段を駆け下り始めました。 「おいっ!ちょっ待て!」 二人の足音が遠ざかっていくのが

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  • 文章上手いですね。 おもしろかったです。
    匿名
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