
(「歌唱があまりにもうますぎる!」の続き)
・・
デートの帰り道、新静岡BTでバスから降りて、桜子が電車に乗る新静岡駅の前でそろそろお開きかなと桜子が後ろを向いたとき。
博正は立ち止まり、桜子に声をかけた。
「・・山倉さん。」
「どうしたの。細野くん?」
桜子は緊張している様子の博正を不思議そうに見ていた。
「・・・いや、どうしても言わないといけないことがあって。」
桜子も何を言われるのだろうと緊張していた。
そして博正は、
「・・・山倉さん。きみのこと好きなんだ。・・・付き合ってくれないかな・・。」
その瞬間、桜子は時間が止まったように感じた。
嬉しいとも悲しいとも感じない不思議な瞬間だった。
「細野くん・・私、何て言えばいいのか・・」
桜子も少し戸惑った様子だった。
「・・・・大丈夫だよ、山倉さん・・・。」
「・・・・ここじゃ話しづらいから一緒に来てくれる?」
桜子に連れられ駅から出た。
そして駿府城のお堀の前まで来て、川のような水面の見えるところで立ち止まる桜子。
少し広いスペースであたりは2人以外に誰もいなかった。
博正は期待と不安の入り混じった感覚だった。
桜子は緊張しながら
「・・・ゆっくり話そうか。細野くん。」
博正は桜子がどんなことを言っても受け入れるつもりだった。
桜子は真剣な目で博正のことを見て、
「私も細野くんのこと好き・・」
その直後、博正も頭が真っ白になった。
博正は黙ったまま声が出なかった。すると、桜子は
「だから、私もそういう関係になれたらいいなって思ってたんだ。」
「本当に?」
博正は今更ながら嬉しさがこみ上げてきた。
だが、桜子はやや深刻そうなまなざしで
「でも私と付き合うには、ひとつだけ聞いてほしいことがあるの。細野くんがそれを受け入れられるかどうかで今後どうするか決まるんだけど。」
「それは?」
「私のこと、もしかしたら女の子にしては何か落ち着きがないとか、変わってるとか色々思ってたかもしれないけど・・・実は私、ADHDなんだよ。」
「え??・・ADHDって。なんかよく動き回る生まれつきの障害みたいな?」
「うん、それ。私の場合は多動・衝動性優勢型。多少不注意の傾向もあるけど。」
「でも、全然気にならなかったけど?それでも何かあるの?」
「これから色んな場面で気づくと思う。普通の女の子のようにできないこととか、私が細野くんに感情的に接して嫌な思いをさせたりとか。付き合ってから気になりだしても遅いから今のうちに打ち明けようと思ったの。」
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。

