
私の家族は、私が幼い頃から絶え間ない争いが繰り広げられ、両親はそれぞれ不倫を重ねては酩酊し、家の中は常に不穏な空気に包まれていました。父が末期のがんで入院することになったのは、今から20年前。母は献身的に父の看護に務め、その姿は周囲から「理想の妻」と称賛されました。私たち兄妹も、そんな母を見て「色々あったけど仲良し夫婦」と思っていました。
父の自己中心的な行動は目に余るものでしたが、彼が亡くなった後は、私たちも悪口を言わずに過ごしていたのです。時が経つにつれ、母に初孫が誕生し、彼女はその喜びに浮かれていました。孫が遊びに来るのを楽しみにし、何日も前からおもちゃや衣服を準備し、腕によりをかけた料理を作る姿は、まさに幸せそのものでした。
しかし、ある秋の夜、母の姿が突然消えたのを感じました。気になって探し回ると、彼女は父の仏壇の前に立ち、ボソボソと呟いていたのです。「死んだら何も見えないだろう。孫は可愛いぞー。ただ、あんたが悪いんだからね。あの時は本当に……」と、恨みの言葉を父の霊に向けて吐き続けていました。その瞬間、20年以上経っても消えない母の恨みの深さに恐怖を覚え、私はその場から逃げるように離れました。
今でもその光景を思い出すと、背筋が凍る思いがします。母の笑顔の裏に隠された真実と、心の闇を知ってしまったからです。彼女の心の中には、いつまでも癒えない傷が残っていたのかもしれません。彼女が父の仏壇の前で何を思っていたのか、知りたくもないのです。母の笑顔は、実は私たちが知らない何かを隠していたのですから。恐ろしいことに、その秘密は今もなお、私の心に影を落とし続けています。母の心の奥に潜む恐怖を、私は決して忘れません。
母が本当に何を思っているのか、今でも分かりません。彼女が抱えていたあの暗い感情は、私にとって決して消え去ることはないのです。いつまでも、恐ろしい記憶として心に残るでしょう。
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