
私は二歳年上の兄と年下の妹がいる。私たちが通っていた工業高校には、都市伝説のような噂があった。「廃工場の中に赤い作業着を着た少年の霊が現れる」というものだ。兄からその話を聞いたのは、彼が卒業する少し前のことだった。
兄が卒業し、私が入学した。その数ヶ月後、ふと思い出して廃工場に足を運んでみることにした。工場の中は薄暗く、空気が重く感じた。そこには、確かに同年代の少年の影が立っていて、赤い作業着が薄暗い中で映えて見えた。
本当にいるのか……? そんな疑念が頭をよぎった。霊が何を求めているのか、どうしてここにいるのかはわからない。しかし、他の生徒や教師は誰もその影を見ていないようだった。過去に目撃した者がいるのかもしれないが、私にはその真相が理解できなかった。
三年間、私はその工場の前を通る際、影を見ないようにして通り過ぎた。卒業の年、妹が同じ学校に入学することになった。ある日、私は妹に聞いてみた。「その影、見えた?」
妹は少し考えてから言った。「うん、いるよ。だけど、あれは男の子じゃなくて、赤い作業着を着た女の子だよ。」
「え、そうなの?」驚いた私は言った。
「目が合いそうになったから、視線を逸らした。気づかれてないと思うけど……」
妹も見える体質のようで、兄よりも強い力を持っていた。こうして妹も影を無視し、無事に三年間を過ごした。兄は「そんなもの見えたことも感じたこともない」と言い切っていたのだが……。私たちが何を見ていたのか、本当に影が何を求めていたのか、今でもわからない。恐怖の正体は、見えないものの中に隠れているのだ。私たちが見えなかったのは、ただの偶然なのだろうか。 それとも、何か意味があるのだろうか。 ただ一つだけ確かなことは、私たちの目の前には、常に見えないものが潜んでいるということだ。 それが何であれ、決して無視できない存在なのだ。 何かに気づかれないよう、私たちはこの先も気をつけなければならない。
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