
新着 中編
その指とまれよ
匿名 3日前
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私がまだ小学生だった時。
みんなも経験したことがあると思う、よくある遊びの数々。
代表的なのはあっちむいて、ホイ。
田舎だったこともあり、さしては学校の係を決める時など
よくあっちむいて、ホイ!と言いながら
係決めをしたものだ。
遊びももちろん、缶蹴りする人この指とーまれっ
と言われながら全員が集まる。
和気あいあいとした雰囲気で、
笑うと負けよん〜♩
のようなテンションであっぷっぷ!とか言いながら
なんだかんだでみんなが皆受け持った係を
全員が手伝うという、本当にいい学校、学級だったと思う。
この指にとまれよ、と言われるまでは。
厳密に言うとキチンとした歌詞は覚えていないのだが
この指とまれという題名だったのは覚えている。
決して
「この指にとまれよ」ではなかったはず。
ある日、私たちの友達が、ひとり亡くなった。
お父様もお母様もうちとは大違い。
声を荒らげる姿が想像出来ないくらい
おだやかで優しい人だった
特にお父様はうちの父と知己の関係でもあり
当時からコソコソかくれてタバコなどを嗜んでいた
やんちゃくれの私の相談でもしていたんだろう
強い口調で反抗してくる私の対処法でも相談していたのだろう。
子育てなどについてよく話し、
他の家庭よりも仲のいい間柄であった。
そしてその子、
いや実の所亡くなったかどうかも定かではない。
忘れたいから。忘れたくないから。
ただ色々な手遊びがある中でその子が
よく出していたのが
この指とーまれ!だった。
親に連れられ、学級、学校のみんなが初めてだったであろう
友達のお通夜、お葬式。
田舎だった事もあり学級内に遠い親戚の子も居たため
そしていつも狭くても華やかな輪の中にいた子だったため、
みんながみんな、なんとなく離れたくなくて
無理を聞いてもらい本来身内しか泊まれない
通夜会場の控え室に泊めてもらうことになった。
みんな、みんな泣いていた。
ただ眠気には抗えぬもの。
懐かしくも悲しい笑い声とともに聞こえてくるは
この指とまれのあのお歌。
みんな聞いていたと思う。
不思議と怖さはなかった。
ただいつもと違った。
んーあれ?違うなぁーみんな来てくれないね
この指とまれって言ってるのに〜
はっきり聞こえた。
あのね、この指にとまってくれたら
私たちずっとともだちなの
ずっと、ずっとずーっとともだちなの
蝶になっても蛙になっても
何になっても
ともだちなの!!!!!!!!
だから、だからさあ
この指にとまれよ!!!
みんな聞こえぬ振りをしていたと思う。
あの華やかな子がこんな声を?とね。
翌日出棺の時、そう、何を隠そう親戚だった私は
その場に立ち会わせてもらった。
正直怖かった。ただ夢だとも思っていた。
その子の父親が、あの穏やかで優しい性格のあの子の父親が、
過呼吸になりながら火葬場の
あのボタンを押した。白目を向き私を睨みつけ
この指にとまれよと、発狂しながら。
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