
この話は、井上君の妹が体験した出来事。
大学の卒業を機に、静岡の実家を離れて東京の高層アパートで新生活を始めることになった井上君。彼が使っていた部屋は妹が引き継ぎ、模様替えを施して快適な空間に仕上げた。明るい紫色の間接照明に切り替え、彼女はその夜、ベッドに横たわった。
静かな冬の夜、窓の外には冷たい風が吹いていた。彼女は目を閉じ、意識が朦朧としていく中で、かすかに聞こえる風の音に耳を傾けていた。すると、ふと目を開けると、窓の隙間から見える光景が目に入った。
隣の建物のベランダを、白いドレスを着た女性がゆっくりと通り過ぎていくのが見えた。彼女は何かを探しているように、じっとこちらを見上げている。明らかに人が通ることができない位置にいるのに、彼女はそこにいた。恐怖が彼女の心を掴み、すぐにブラインドを下ろして窓を完全に覆い隠した。
彼女は布団をしっかりと被り、恐怖に震えながら眠りに落ちようとした。しかし、心の奥で何かが叫んでいた。目を閉じても、白いドレスの女性の姿が頭から離れなかった。翌朝、彼女は隣の部屋の住人にそのことを話そうと決めたが、そこで聞いたことが彼女をさらに驚かせた。
隣の部屋には、数ヶ月前に引っ越してきたはずの女性がいた。しかし、彼女はすでに事故で亡くなっていたのだ。妹はその瞬間、夢の中で見たものが、現実に起こった出来事であることを理解した。彼女の心に恐怖が残り、その影は今も彼女を追い続けているのだった。
彼女はいつしか、夜になると窓を開けない自分を作ってしまっていた。隣の影が再び現れることを恐れながら。
彼女は気づいていた。彼女にとっての「隣」は、もはやただの隣人ではなく、忘れられない影となっていたのだ。
その影は、今も彼女の背後に潜んでいるのだろうか。彼女は一体、どのようにその影から逃げられるのか。
それは、決して解けない謎のままだった。
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