
私が高校生だった頃、冬の寒い夜、友人たちと廃墟となった学校に肝試しに行った。そこにはかつての生徒たちの絵が壁に描かれていた。
しばらく話をしていると、誰かが低い声で呼ぶのが聞こえた。
「おい」
みんな周りを見渡したが、誰もいない。それが不気味な気配を感じさせた。
「気のせいだろう」と言い合い、再び話を続けたが、時間が経つにつれて、声はだんだんと近づいてくるように感じた。
帰宅後、部屋で休んでいると、再びその声が聞こえた。
「ユウジ」
両親はすでに寝ている。私は恐る恐る襖を開け、廊下を確認したが、誰もいない。隣の部屋では両親が静かに寝息を立てている。
「開けろ」
再び聞こえたその声は、まるで私の耳元で囁いているようだった。私はゆっくりと茶の間に向かったが、誰もいない。なぜか、玄関の方が気になった。
鍵を開けて玄関を開けたが、やはり誰もいない。ほっとして、玄関を閉めたその瞬間、再び声が聞こえた。
「おい」
今度は近い。恐れを抱えながら玄関を開けると、そこにいたのは、かつての生徒たちが描かれた不気味な絵だった。
何が起きているのか理解できなかったが、絵が動き出すような感覚を覚えた。まるで、私に何かを伝えようとしているかのように。
近づくと、絵の中にかすかに文字が浮かび上がった。「ここに座るな」「ここを蹴るな」「ここを汚すな」
恐れながらも、その文字を見ていると、さらに続く文章が浮かび上がった。「ここを汚すとお前もここに…」
その瞬間、私は恐怖に襲われて「ごめんなさい!」と叫び、逃げるように家に戻った。
翌日、友人たちに昨日の出来事を話した。しかし、みんなは最初は信じようとしなかった。ただ一人、田中だけは私の話を真剣に聞いてくれた。
それから数週間後、田中は行方不明になった。私たちは廃校に戻り、彼を探したが、どこにも見当たらなかった。心のどこかで知っていたが、もう一度絵を見たかった。
すると、あの絵が動き出した。田中の名前がそこに浮かび上がっていた。私たちは恐怖に駆られ、急いで校長に伝えたが、誰も信じてはくれなかった。
私たちはスコップを持ち寄り、その絵の周囲を掘り始めた。すると、変わり果てた田中の姿が見つかった。あの絵が、彼を吸い込んでしまったのだ。
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