
俺はもうすぐ死ぬんだ・・
夢の中で、よく知っている駅に似たホームにいた。
そして夜の暗闇の中、最終の新幹線がホームに入ってくる。
この列車はこれからあの世に向かう本当の意味での「最終列車」だった。
小さい頃からずっと鉄道が好きだった俺にとってふさわしい最期だ。
車内は薄暗いが、子供の頃から大好きで乗り慣れた新幹線の車内だった。
そして新幹線は駅を出て徐々にスピードを上げていく。
見慣れた町を抜けて暗闇の中、未知の世界へと向かっていた。
暗闇の車窓には、人生の思い出が映し出されていた。
しばらく景色を眺めていたが、次第に外は暗闇になり何も見えないなか新幹線の高速の走行音だけが響いていた。
ふと車内を見ると、そこには懐かしい人たちがたくさん座っていた。
父方の祖父母、母方の祖父母、親戚、学校の恩師、会社の上司、友人、知人・・
みな故人だった。
俺はこれから、みんなの元へ向かうんだ。
俺は席を立ち、皆に声をかけた。
だが、誰に話しかけても返事もしないし、俺の方も向かない。
なぜ・・
そんななか、父方の祖父と祖母が俺の方を向き
「ここはまだおまえの来る場所ではない。」
祖父がそう言った直後、新幹線の途中駅到着のチャイムが流れた。
「まもなく・・」
・・・
その瞬間、俺は目を覚ました。
処置室のような場所で、酸素マスクをつけて寝かされていた。
目の前の医師や看護師は俺の意識が戻ったことに気づいた。
俺は、持病が悪化し倒れたようだ。
一時は命も危ない状態だったが、無事生還できたようだ。
落ち着いた頃、妻や子供たちが涙ぐみ俺を迎えてくれた。
俺は持病を抱えながらも、日常に戻ることができた。
あのとき見た新幹線の夢が「臨死体験」だったのか、ただの夢だったのかは分からない。
それでも俺は、あの夢で出会った人たちのおかげで生還できたと確信している。
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