
この話をすることは、いつもためらいを伴う。
私は意図的に不謹慎なことを話そうとしているわけではない。ただ、実際に体験した出来事を淡々と述べているに過ぎない。
これから語るシチュエーションは、決して特別なものではない。誰にでも起こり得る話だ。だからもしその時が来たら、しっかりと向き合ってほしい。大丈夫、一度知ったら忘れられない話だから。
冬の深夜、私は病院で初めての夜勤を迎えた。静まり返った病室の中で、私は一人の患者、祖母のそばにいた。彼女は長い間病と闘っていたが、その日は特に状態が悪化していた。家族はすでに覚悟を決めていたし、私もそれに従っていた。
その夜、私は祖母の様子を見守ることになった。病院は静かで、時折聞こえる機械の音だけが周囲を支配していた。祖母は白いシーツに包まれ、見慣れた顔がそこにあった。彼女の手は冷たく、私はその手に触れてみた。冷たさは思ったよりも心地よく、どこか安心感を覚えた。
しばらくして、私は祖母の顔をじっと見つめていると、突然彼女のまぶたが開いた。最初は驚いたが、すぐに納得がいった。筋肉が緩んで、自然にまぶたが開いたのだろうと思った。しかし、次の瞬間、私の心臓が止まるかと思った。
祖母は目を開けたまま、私の顔を見つめていた。無表情で、しかしその目には何かが宿っている気がした。まぶたが開いているのに、彼女の眼球は動かない。その瞬間、私は恐怖を感じた。
「おばあちゃん、どうしたの?」と小さな声で呼びかけたその時、彼女の口がわずかに動いた。
「…死にたくない。」
その言葉が耳に入った瞬間、全身に冷たい汗が流れた。声は祖母のものではなく、かすれた、まるで別人のような声だった。私は恐怖に駆られ、すぐに後ずさりし、看護師室へと逃げ込んだ。
その後、家族が駆けつけ、祖母は静かに息を引き取った。しかし、あの瞬間、彼女の口から発せられた言葉は私の心に深く刻まれた。死ぬことへの恐怖、最後の抵抗を感じさせる声だった。
それ以来、私は一つの確信を持った。「人は死ぬ瞬間、平穏な気持ちではいられない。」祖母の言葉は私にとって忘れられない教訓となった。どれだけ幸福を感じても、最期の瞬間がどれほど恐ろしいかを、私は心の底から理解したのだ。私もいつかその瞬間を迎える日が来る。その時、私の心の中には、祖母の声が響いているのだろうか。
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