
これは友人から聞いた不思議な体験の話だ。彼女は60代の女性で、都会から離れた山奥の小屋にひとりで暮らしている。
若いころからずっと独身で、両親は早くに亡くなり、祖父母に育てられた。祖父はこの土地の伝説的な人物で、地元では名の知れた商人だったという。
彼女は特に目立つ性格でもなく、どちらかと言えば内向的で、気ままに過ごす日々。家の周りには何もないため、普段は静かに読書や散歩を楽しんでいた。
しかし、最近、彼女の生活は一変した。ある晩、古い家の中に飾られていた祖父母の写真が、いつの間にか落ちて割れていた。どうしても気になり、彼女はその写真を元に戻そうとしたが、手を伸ばした瞬間、背後に冷たい気配を感じた。
それ以来、夜になると小屋のドアが勝手に開いたり、誰もいないはずの廊下で足音が聞こえるようになった。最初は気のせいかと思ったが、次第にそれは確かなものに変わっていった。彼女は恐れを抱きながらも、日々の生活を続けた。
ある晩、彼女は荒れた夢を見た。目が覚めると、全身が動かず金縛りにあっていた。その瞬間、彼女の目の前に立っているのは、亡くなった祖母の姿だった。薄暗い光の中で、彼女は祖母が微笑んでいるのを見たが、目は虚ろで何かを訴えかけているようだった。
恐怖のあまり意識を失った彼女が目を覚ますと、汗まみれの布団の中にいた。彼女はその日から、祖母が生前に頼んでいたことを思い出した。家の整理や庭の手入れを一切していなかったのだ。
それから彼女は親戚を呼び寄せ、片付けを手伝ってもらうことにした。すると、不思議なことに、ドアが勝手に開くことはなくなり、廊下の足音も消えた。しかし、金縛りは時折続いているという。彼女はその度に、使命を果たさなければならないと感じるのだった。彼女は決して一人ではないのだ。祖母の存在は、彼女の生活に影響を与え続けているのだろう。
今もなお、彼女は小屋で静かに暮らしているが、時折その冷たい気配を感じながらも、心の中で祖母に感謝しているのだ。彼女の生活は、もう二度と同じではない。
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