
冬の夕方、商業ビルの前で友人を待っていた。周囲は賑やかで、行き交う人々の姿が見える。そんな中、目に留まったのは、豪華なコートを着た年配の男性と、華やかなドレスの若い女性だった。彼らは笑顔を交わしながら、仲良さげに歩いてくる。見事な組み合わせに、思わず目を奪われた。
二人の後ろには、何やら影がちらちらと見えた。最初は何も気にせず立ち尽くしていたが、じっと見ているうちに、少しずつその影が形を持っていることに気づく。それは、女性の周りに小さな子供たちが二体、男性の周りには三体。けれど、誰もその子供たちに気づいていないようだった。
彼らはただ、楽しそうに話し合いながら通り過ぎていく。目を凝らしてみると、子供たちはどこか不自然で、顔がぼやけているように見える。私は思わず息を飲んだ。誰もその存在に気づかず、ただ笑顔で過ごしているのだ。
年配の男性が一瞬こちらを振り返った。その瞬間、目が合った。彼の目は空洞のように感じられ、心臓が高鳴る。彼は微笑んでいたが、その笑顔は、まるで何かを隠しているかのようだった。
やがて彼らは交差点を渡り、視界から消えた。周囲の人々はその後ろに続く子供たちを全く気にしていない。私はその影が何を意味しているのか、理解できずに立ち尽くしていた。
その後、街はいつも通りの喧騒に戻ったが、私の心には強い違和感が残った。あの子供たちは一体何だったのか。無邪気な笑顔の裏に、何か恐ろしい秘密が隠されているのかもしれない。私の目の前にあったのは、ただのカップルではなく、見えない存在を抱えた恐怖の象徴だったのだ。
その日以来、あの商業ビルの前を通るたびに、いつも不安な気持ちが胸を締めつける。あの影たちは、今もどこかにいるのだろうか。
私の目には何も映らない、しかし、彼らの笑顔の裏には何かがある。私もまた、その見えない存在に引き寄せられているのだろうか。
そのことを思う度に、心の奥に不気味な感覚が広がるのだった。
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