
長編
山
匿名 3日前
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。
駆け付けた救急隊に、男性が大怪我をしたんですと伝え、男性を寝かせた場所へ全速力で向かいました。
現場に着いてほっとしたのも束の間、男性の姿はどこにもありませんでした。
あんな状態で動けるはずがないと思い、「救急隊が来ました!どこですか!?どこにいますか!?助けに来ました!」と叫びながら辺りを探し回りましたが、男性は見つかりませんでした。
救急隊の方々は、「もしかしたら川に落ちてしまったのかもしれません。応援を呼んで付近の川を捜索しますので、あなたは登山口で待っていてください」と言いました。
私は言われた通り登山口まで下り、不安そうな顔をしていたBに先程までのことを説明しました。
するとBは、「実はあのおじいさん一瞬でお前の目の前に現れたんだよ。掃き掃除してた落ち葉をふざけてお前にぶっかけてやろうと思ってお前に駆け寄ったら、瞬きする間に現れたんだ。びっくりしすぎて何も言えなかった。その間にお前がおじいさん追いかけて行ったから… 」と教えてくれました。
背中にひやりとしたものを感じ、その後は二人で口をつぐみました。
それからまた15分くらいして消防車が到着し、人員を増やして捜索が始まりました。
その捜索から1時間弱、「こっちだ!!」という声が聞こえました。
振り返ると、Aが作業をしていた場所付近の川に救急隊が走っていくのが見えました。
私とBも駆け寄り、見つかったのかと少し安堵しましたが、担架で運ばれる姿を見て愕然としました。
ベージュの毛布に隠れて全身は見えませんでしたが、その隙間からグレーのフリースが見えました。
そしてそこから見えたおそらく手首、首元は人の肌とは程遠い色をしていました。
呆然と立ち尽くした私とBに、最初に駆け付けてくれた救急隊の方が大丈夫ですか?と声をかけてくれました。
そしてこう言いました。
「大きな声では言えませんが、山や海、川ではこういうことが稀にあるんです。あまり深く考え込まないようにしてくださいね」
その後、ありがとうございましたと言われ、救急隊は去って行きました。
走り去っていく救急車と消防車を見ながら、私はぐるぐると考えていました。
「あなたの隣にいるんです、とても寒くて」
あの言葉は、私が作業していた場所の隣に流れていた川に、男性がいたという事だったんだろうか。
2日後、行方不明になっていた男性が◯◯山付近の川で発見されたという記事が新聞に載っていま
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