
長編
山
匿名 2日前
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いながら登山道を進み始めました。
私は慌てて今から登山は危ないですよ!と手を取ろうとしましたが、男性はもの凄いスピードで歩いて行ってしまいました。
私はBに、男性について行くと伝え掃除を頼み、駆け足で追いかけました。
男性はあっという間に見えないところまで進んでいて、大声で声をかけ続けましたが反応はありませんでした。
その山は登山口から500メートルほど進むと、登山道の左側に川へ出られる道があるのですが、その道の茂みに白髪頭が見えました。
少しほっとして、一緒に下りましょう!と駆け寄りました。
男性は流れる川を見つめながら、「ここです。ここからわたしは…」と言うと、男性の左腕がもの凄い音と共に激しく跳ね上がり、その直後、上半身がバキリと音を立て後方に折れ曲がり崩れ落ちました。
一体何が起きたのかと混乱し、目の前の出来事があまりにも衝撃的で頭と身体がフリーズしました。
男性の右手がピクピクと痙攣しているのを見て正気に戻り、慌てて携帯電話で救急に電話をしました。
到着まで15分ほどかかると言われたので、とにかく早く男性を助けなければと思い、折れ曲がった男性の上半身を元に戻そうと身体を掲げ上げました。
「大丈夫ですか!?私の声が聞こえますか!?」と言い終わると同時くらいに、また身体がフリーズしました。
「寒い。寒い。寒くて痛くて…。いつ迎えに来てくれますか?」と言いながら、男性はじっと私を見つめていました。
黒目が下瞼に沈み込むほどの状態で私を見つめ、身体がおかしな形状になっているのに淡々と「あなたの隣にいたんです。寒くて寒くて凍えそうです」と言いました。
私は恐怖でおかしくなりそうでしたが、「今救急車が来ますからしっかりしてください、気をしっかり持ってください」と繰り返しました。
永遠に感じる様な時間、どうか早く救急隊が来てくれますようにとひたすら願い続けました。
しばらくすると遠くからサイレンの音が聞こえ、私は心底ほっとして、男性に登山道から逸れた道なので救急隊を迎えに行きますと伝えました。
着ていたダウンを土の上に敷いて、男性をその上に寝かせ大急ぎで登山口に向かって走りました。
登山口にいたBは慌てた私の様子を見て、心配そうにどうした?と聞いて来ましたが、遠くに見えた救急車に向かって大きく手を振りました。
今はそれどころじゃないんだと言って、Bにも救急車に見えるように大きく両手を振って貰いました
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