
私の父の話です。彼は長年のストレスから精神的な不調を抱えて、ついに秋のある夕方、精神科病院に入院することになりました。入院初日の夜、彼は病室の暗闇の中で目を覚ましました。外は静まり返り、病院は異様な静寂に包まれていました。
病室の片隅には電波時計があり、その音だけが不気味に響いていました。父はその時計を見つめていると、次第に時計の針が異常な速さで動き出しました。不安を覚えた彼は、目を閉じて目を逸らそうとしましたが、どうしてもその時計から目が離せませんでした。
時計の針が一周するたびに、彼の頭の中に声が響き始めました。「まだ、終わっていない」と。しかし、声はどこからともなく聞こえてくるのではなく、まるで彼自身の内側から発せられているようでした。
父は恐怖を感じながらも、意を決して再び時計に目を向けました。すると、針は元のスピードに戻り、静かな時間が流れ始めました。しかし、その瞬間、彼は勘違いしていたことに気づきました。時計の影が、まるで人の形をしているかのように動いていたのです。
その影は次第に形を持ち、薄暗い病室の隅に立ち上がりました。父は恐怖で身動きが取れず、ただ見つめることしかできませんでした。影は口を開き、彼に向かって「助けてくれ。もうすぐだ」と告げました。彼はその瞬間、影の正体が自分の過去のトラウマを象徴していることを理解しました。
その後、父は意識を失い、目を覚ましたときには病室は明るくなっていました。看護師が彼の様子を心配そうに見守っていました。父は恐ろしい体験を誰にも話すことができず、ただ静かにその日を乗り越えました。この出来事は、彼の心の奥に深く刻まれることになったのです。彼はその後も特に大きな病気をすることはなかったものの、あの影のことを忘れることはありませんでした。
そして、今でも時折、電波時計の音を聞くと、彼はあの恐怖の夜を思い出すのです。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。

