
短編
駆け上がってくる足音
あ 3日前
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それは、何気ない日常の中で起きました。
私は4人家族で、母が仕事の時は家の事を代わりにやることになっています。
その日も母が仕事だったので、いつものように洗濯物を取り込んでいました。
1階のリビングでは父と妹が寝ていて、誰も手伝う気はないのか、と呆れながら2階に上がったのを覚えています。
その日は天気が悪く、あまり乾かなかったのでベランダのある部屋、Aから乾燥機のある別の部屋、Bに洗濯物を移します。
あとは今持っているバスタオルをハンガーのピッチにつけるのみ、というときでした。
Bの部屋で作業をしていると、ダダダダっと全力疾走したかのようなスピードで誰かが階段を駆け上がってくる音が聞こえました。
妹が手伝いに来てくれたのか?とも思いましたが、私の家の階段は90度くらい曲がる角があり、とても勢いを緩めず駆け上がれるような階段ではありません。それに加えて、人が歩くだけでミシミシと床が鳴るのですが、その足音が通った時にはミシミシという音がせず、ただ、足音のみが聞こえたのです。
一気にサーっと血の気が引くのが分かりました。
と、同時に言葉では表せないような嫌悪感、吐き気が込みあがり、駆け足でリビングに戻りました。
リビングには、寝息を立てる父と妹。
あれはいったい誰だったのか。何だったのか。
あの後、部屋をのぞく勇気はありませんでした。
この話を母にもしたところ、母も似たような体験をしたことがあるそうです。
私の住む家には何かがいるのかもしれません……
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