
中編
絵本読んで
匿名 3日前
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手を眠らして閉じ込めちゃえばいいって、そうすれば帰れないし私とずっとここで遊べるでしょう?」
一際、キラキラとした瞳で言い放った女の子はまるで、いいことを思いついた無邪気な子供の顔だった。
さっきまでは、人形のように感情がなかったのに……
「(この子は、そんなに友達が欲しかったんだ……)」
今思うと、どうしてこんな事を思う余裕があったのか分からなかった。
しかし、友達が欲しい気持ちや一人置いてかれる寂しい気持ちが自分と重なって、その女の子の事を放っておけなかった。
「友達が欲しいのなら私がなってあげるよ」
「本当に?そう言ってみんな、帰りたいが為のウソだったよ」
「ウソじゃないよ。
それと、友達は家に帰るけどまた、遊べるよ。閉じ込めなくてもまた会えるよ?」
そう言うと、今まで動かなかった体が動いた。
目の前にいた女の子は、満面の笑みを浮かべ
「ありがとう」
意識が遠く中、微かにそう聞こえた。
「先生、患者さんの意識が」
「〇〇(私の名前)さん、聞こえますか?」
「……良かった。本当に」
目を覚ますと、看護師や医者、両親が私の顔を覗き込みホッと安堵していた。
聞けば、私は3日も昏睡状態に陥っていたらしい。
あれは、夢だったのか……
本棚を見に行ってもあの絵本はありませんでした。
これが、入院して一週間の出来事です。
やはり、病院は不思議な出来事が起こるのだなと実感しました。
そして、入院生活の不思議な話しはこれだけではありませんでした。
その話しはまた今度、お話しします。
ここまでお付き合いありがとうございました。
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chat_bubble コメント(2件)
- 他にもいたんだなイケメンオタク
- 読みやすくて頭の中でイメージしながら読ませていただきました。また他の体験談を読ませてください!ぷらら