
長編
灰色の森
匿名 13時間前
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たの?彼は宙を舞い、もう一体の生物に連れ去られてしまった?あの血溜まり。彼が無事ならば良いのだけれど…。
階段を下りながらも、屋上の方に注意を払う。生物が追ってくる様子はない。やっとの思いで階段を下り切り、助けを求めて大声で叫んだ。
「誰か!誰かいませんか!!?」
少しの間叫び続けると、階段の下の方から「どうかしましたかー!?」と言う男性の声がした。
「助けて下さい!変な生物に…、いや、あの、足が折れて動けないんです!!」
あの生物の事を言っても、誰が信じてくれるだろうか。それに彼を捜しに行きたいが、独りではこれ以上動けそうもない。とりあえず、今は助けが必要だ。
駆けつけたのは、このビルに常駐している若い警備員だった。華奢で頼りなさげなまだ二十歳前後に見える警備員は、私の姿を見るなり「どうしたんですか!?頭から血ィ出てますよ!」と慌てふためき、私以上に冷静さを失っている。先ほど頭を打った時に傷を負ったのだろう。手をやると、確かに指先には温かく赤い液体が付着した。
「とりあえず、救急車を呼んで下さい。それと、ここは危ないです。私の会社のオフィスまで連れていって下さい。誰もいないけど、入れるかも」そう告げると、警備員は「わ、分かりました!」と携帯電話を取りだし、まごついた口調で119番に連絡を取ってくれた。そして今度は私をどうやってオフィスまで連れていこうかを悩んでいたので、「おんぶ、できますか?」と訊ねると、「は、はい」と言い、私を負ぶってふらつきながらも、時間を掛けてオフィスまで運んでくれた。不用心だが、期待通り鍵は開いていた。
「では、ここで安静にしていてください。僕は一度警備室に戻り、警備会社の本部と連絡を取ってきます」警備員は息を切らしそう言って、私を置き去りにし行ってしまった。
私は再び一人になり、誰もいないオフィスの奥にある、“彼”のデスクへと向かった。足の痛みを堪え、デスクの前に立ち、彼が座っている姿を想像する。奥さんと子供が写った写真を、そっと伏せる。
今までする事が出来なかった事。オフィスチェア、ビジネスバッグ、万年筆など、彼の所有物に指先で触れてみる。胸とお腹の辺りが熱くなり、想いが込み上げる。
アナタに、触れたい─────
涙が溢れ、彼のデスクにすがるように、膝から崩れて泣いた。
すると、カツンッ、カツンカツンと、小さく堅い何かがぶつかり合う音が聞こえた。
私の他に
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- オリジナルなら先に書いて欲しいです 読む時間が、ムダ…陸奥
- 草( ´_ゝ`)
- えっと・・・怖い話なんだよね?a100-7
- 載せるとこ違います。あ
- 宝塚の人?・・・
- イミフ。何、この身勝手女のバカな話。 胸糞