
大学時代、友人たちと肝試しをすることになった。廃工場の中で一晩過ごすというのだ。友人の一人が、以前この場所で見つけた古びた日記を持参した。それは、過去にここで働いていた人のもので、奇妙な出来事が綴られていた。
「ここに住んでいた人が、夜になると姿を消した。」その一文が私たちを不安にさせたが、好奇心に勝てず、私たちはその工場に足を運んだ。
暗い廃工場の中、懐中電灯の光が薄暗い壁を照らし出す。最初は笑い声が絶えない雰囲気だったが、時間が経つにつれてそれぞれの表情が硬くなった。何かがいるという感覚が、次第に私たちを包み込んでいく。
夜が更け、友人の一人が急に大声で叫んだ。「何かいる!」その声に驚き、私たちは彼の方を振り向いた。彼の指差す先には、まるで誰かが立っているかのような影が見えた。だが、目を凝らしても何も見えない。恐怖に駆られた私たちは、逃げるように工場を飛び出した。
逃げた後、私たちはその日記を再度読み返した。すると、日記の最後のページには、こう書かれていた。「ここに来た者は、必ず一人失う。」その言葉が頭の中をぐるぐると回り、友人の姿が思い浮かんだ。
その後、彼は行方不明になった。今でも、あの廃工場には何かが潜んでいるのだろうか。彼の失踪の理由は、いまだに解明されていない。私たちが見た影は、果たして何だったのか。今でも考え続けている。
この出来事は、私の心に深く刻まれ、忘れられない恐怖として残っている。今も、あの廃工場には行くことができない。自分があの場所で見たものが、真実であったのかどうか、知りたい気持ちと恐れる気持ちが交錯する。
あの夜、私たちが向き合ったのは、ただの恐怖ではなく、何かもっと深いものだったのかもしれない。あの日記と共に、私たちが失ったものを、私は一生忘れないだろう。
そして、友人の行方が分からないまま、私の心にはいつまでも疑問符が残り続ける。
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