
私の遠縁にあたる叔父は、かつては湖畔で漁をしていたが、今は年老いて別荘で静かに暮らしている。ある冬の夜、私は彼を訪ねた。話をするうちに、叔父は漁のことだけでなく、湖にまつわる恐ろしい伝説についても語り始めた。
「この湖には、決して近づいてはいけない場所がある」と。そう言うと、彼は目を細め、何かを思い出すように俯いた。
叔父は、昔この湖で起きた事件を語り始めた。ある時、地元の新聞記者が、湖の美しい風景を撮影するために訪れたという。彼はカメラを持ち、湖のほとりで大声で呼びかけていた。「この湖は本当に素晴らしい!」と。
しかし、その声が響いた瞬間、湖の水面が波立ち、何かが浮かび上がってきた。記者はそれを見て驚き、恐怖に駆られたが、好奇心が勝り、近づいていった。すると、湖の底から出てきたのは、まるで人間の腕のようなものだった。
その光景を目撃した叔父は、すぐに彼を止めようとしたが、記者はそのまま湖に引き込まれてしまった。叔父は必死に助けようとしたが、水中からは「助けて!」と囁く声が聞こえたという。だが、次の瞬間、その声は消え、静寂だけが残った。
叔父はその後、漁をやめ、この湖から離れた。私がその話を聞いていると、外から風の音が聞こえ、どこか不気味な気配を感じた。
しばらくして、叔父は古いカメラを取り出し、私に見せる。「このカメラで、あの時の光景を撮影したんだが、奇妙なことがあった」と言った。彼がその写真を見せると、そこには誰もいないはずの湖のほとりに、ぼんやりとした影が映っていた。
「この影は一体何だろう?」と私が尋ねると、叔父は無言でカメラをしまった。すると、突然、外から声が聞こえてきた。「助けて…」と、まるで湖から来るような声だった。
動揺した私は、叔父に尋ねた。「これが湖の禁足地の声なのか?」叔父はただ「もう遅い、ここから出て行こう」と言うが、その時、私たちの背後でドアがバタンと閉まった。私たちは逃げようとしたが、すでにその場に何かが迫ってきている気配がした。恐怖に駆られ、私たちは別荘の中で身を縮めた。
外では、「助けて…お世話になります!」という声が繰り返し聞こえてくる。私たちは恐怖のあまり動けず、ただその声に耳を傾けていた。やがて、声は近づき、ドアを叩く音が聞こえた。どんどんと、強い力で叩きつける音が。
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