
冬の夜、ようやく息子を寝かしつけた母親は、暖かいリビングで一息ついていた。その時、残業中の夫から電話がかかってきた。
「え、どうしたの?」と不安が胸をよぎる。夫の声は震えていた。「病院から、マサトが…亡くなったって。」
10歳のマサトは、夫の前妻の子で、先月から入院していた。生まれつきの病気で、心配していたのだ。
「本当に、あの子はもういないのね…」
電話を切った後、母親は手を合わせ、「安らかに眠ってね」と呟いた。すると、背後から小さな声が聞こえた。「ママ、私のこと、嬉しいくせにぃ。」
振り返るのが怖かった。だが、振り返らなければならないと思った。心臓がドキドキして、体が硬直する。
恐る恐る振り返ると、そこには、薄暗い廊下の奥に立つ小さな影が見えた。可愛らしい顔立ちの息子が、にっこりと笑っていた。
「ママ、私、ここにいるよ。」その声を聞いて、母親の心は凍りついた。
まさか、マサトの声が聞こえるなんて。目の前の存在が、彼を表しているのか。彼女はただ、立ち尽くすしかなかった。
その瞬間、彼女はこの家に隠されていた真実を知ることになる。
子供たちの間で語られる、亡き者の声が聞こえるという言い伝えが、彼女の耳にも響いていた。
「ママ、私のこと、忘れないでね…」その声は、まるで彼女の心に響くように、消えることはなかった。
彼女はその後、家を出ることができなかった。
これが彼女の運命だったのか。
家の中で、マサトの声はいつまでも響き続けていた。彼女の心の中でも、彼の存在が消えることはなかった。
冬の夜、暗闇の中で彼女はただ、マサトの声を聞き続ける運命となった。
彼女はその声を、いつまでも忘れることができなかった。
その声は、彼女の心に刻まれ、生き続けるのだ。
「私、忘れないから。」
彼女は、そう呟くことしかできなかった。
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