
最近、夢の中で誰かに追われている。
何が自分を追いかけているのか、いつもわからず、ただ恐怖だけが心に広がっていく。毎回捕まってしまい、無理やり倒される瞬間に目が覚めるのだ。
夢の中では、いつも渋滞する廃墟の遊園地にいる。かつては笑顔と歓声で溢れていた場所も、今では静寂と不気味さだけが支配している。明かりの消えた観覧車の影が、心に不安を煽る。
その日、夢の中で俺は逃げていた。追ってくるのは何か、ただそれを感じるだけで、息が切れてくる。何かが近づく音がする、「はぁ、はぁ」と。
逃げる途中、倒れた古い人形が俺の足に絡まり、転んでしまった。地面に叩きつけられ、痛みが走る。追い詰めてきた影が近づいてきて、見上げると、その顔は見たことがあるような……。
「ピピピピピピ」という音で目が覚める。目の前には天井が広がっていた。夢の中の恐怖が、まだ体に残っている。思い出すことができそうで、できないもどかしさ。冷や汗が背中を流れる。
目覚めた後、静かな部屋に母の声が響く。「おはよう、どうしたの? 顔色が悪いわよ?」
母は最近、離婚後に困っている様子だ。毎日のように食事を運んできてくれるが、どこか不自然な微笑みを浮かべている。彼女もまた、借金に悩んでいるらしく、時折不安な目をして俺を見つめる。
「お金を貸してほしい」と言われるたび、俺は歯がゆさを感じていた。何度も言った、そろそろ自立してくれと。しかし、彼女はいつも黙ってしまう。
そんなある日、父から電話がかかってきた。母のことを心配しているようだったが、彼は俺に警告を発してきた。「お金のことで、母さんはおかしくなる。彼女には近づかない方がいい。」
その言葉が頭に残り、夢の中の廃墟の遊園地が浮かんできた。
子供の頃、母と一緒に行った場所。そこでもまた、何かに追われている気がした。逃げても逃げても、後ろからは影が迫ってくる。そして、夢の中で見たその顔は、母の顔だった。
「お前さえいなければ……!」という声が耳に響く。俺さえいなければ、全てがうまくいくのだと、彼女は思っているのかもしれない。
現実に戻ると、俺は急いでアパートを出た。もう逃げなければ。だが、目の前には、母の姿が待ち受けていた。目は狂気に満ち、両手には包丁が握られている。
「お前さえいなければ、父さんは私を捨てたりしなかったんだ……!」
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