
「これ、本当に俺だけの体験なのか? 誰か同じようなことを聞いたことがある?」
長くなるが、聞いてほしい。
先週の金曜、ビルの最上階で友人たちと飲んでいた。終電を過ぎたころ、僕は一人でエレベーターを使って地上に戻ることにした。
エレベーターのボタンを押すと、ドアが閉まり、ゆっくりと降り始めた。いつも通りなら、すぐに1階に着くはずだった。
だが、次の瞬間、エレベーターのディスプレイには「4階」ではなく「無名の階」と表示された。
「え?」思わず声を漏らしたが、酔っていたせいか、気のせいだろうと思った。でも、アナウンスが流れて「次は無名の階です」と告げる。
その時、不安が胸を締め付けた。周囲を見渡すと、他の乗客はただ無表情で立っている。誰も動かず、ただ黙っている。
「何これ?」と心の中で叫びながら、僕はスマホを取り出そうとしたが、圏外だった。ビルの中で圏外になるなんて、ありえない。
エレベーターがさらに減速し、ドアが開いた。そこには古びた廊下が広がっていた。まるで時間が止まっているかのように、色あせた壁紙と薄暗い明かりが、異様な雰囲気を醸し出していた。
そして、目を引いたのは、廊下の端に立つ一人の男だった。
背が高く、顔は影に隠れて見えない。彼は古いスーツを着ていて、動かない。ただ、こちらを見ているような気がした。
恐怖が襲い、心臓がバクバクと鳴り始めた。「動くな、降りるな」と本能的に感じた瞬間、エレベーターのドアが「プシュー」と開いた。
「頼む、乗ってくるな」と思いながら、男は微動だにせず、ただこちらを見つめている。周囲の乗客はまったく気にしていない。まるで僕だけがこの異常に気づいているかのようだった。
「閉じろ、閉じろ!」と念じていると、エレベーターが揺れ、ドアが閉まった。動き出すと、ホッとしたが、ふと窓に目が行く。
その瞬間、廊下に立っていた男が口を開き、「ニヤリ」と笑った。
「何だ、あれは!?」思わず声を上げそうになったが、その瞬間、アナウンスが流れた。「次は1階、1階です。」
え?スマホを見ると、圏外の表示が消えていた。エレベーターの中の空気も元通りに戻っている。
1階に着いた瞬間、急いで降りた。心臓はまだバクバクで、すぐに「無名の階」を検索してみたが、何も出てこなかった。
ただ一つ、気になる話があった。「昔、このビルの中に、計画段階で消えた階があった」という都市伝説。
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