
僕が大学生だった頃の話。
当時、友人のKの家で酒を飲んだりゲームをしたりして、楽しい時間を過ごすことが多かった。
Kは地元の人間で、隣町から転校生としてやってきた。そんな経緯もあって、彼の元地元の友人たちがしばしば遊びに来ることもあった。
その友人の中には、少し荒っぽい印象の連中が多く、若いころの武勇伝やトラブル話をよく耳にした。そんなある日、Kが新しく知り合った男、仮にT君と呼ぶことにした。
T君は髪を長く伸ばし、黒いキャップをかぶっていた。彼は隣町でちょっとした悪名を馳せているようで、普通の学生とは違う雰囲気を漂わせていた。
その夜、酔いが回った頃、T君が最近のトラブルについて話し始めた。彼は、近くの廃工場で揉めた二人組を拉致し、暴行を加えたという衝撃的な話を披露した。
彼は笑いながら、相手を無力化するために「ナイフでお尻を刺してやる」と語った。それによって、相手は絶対に立ち上がれなくなるという。
数日後、テレビのニュースで衝撃的な報道を見た。近所の廃工場で、二人の男性がリンチされ、一人が死亡したという事件だった。犯人は複数いるらしく、まだ捕まっていないとのことだった。
その瞬間、T君のことを思い出した。Kに彼のことを尋ねると、T君はどこかに逃げたと聞かされた。彼が今どうしているのか、逮捕されていることを願うばかりだ。彼の告白が、現実の恐怖に繋がったのだと心の中で思った。夜の廃工場が、恐ろしい記憶として刻まれた瞬間だった。
何が起こったのか、今も思い出すだけで背筋が凍る。あの日の酒が、恐怖の味を持っていたことを忘れることはできない。
この話を語ること自体が、今でも恐ろしい。何が本当で何が嘘か、誰もわからないまま。恐怖は、すぐそばに潜んでいるのかもしれない。
そして、T君の存在は、単なる悪夢ではなく、今でもどこかで生きているのだろうか。
その答えを探すことは、もうしたくない。
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