
私が大学生の頃、隣の部屋には二人の兄妹が住んでいた。彼らと私は時折、エレベーターで顔を合わせる程度だったが、特に気に留めることもなかった。
冬の寒い夜、部屋で勉強していると、隣から妙な音が聞こえてきた。最初は子どもたちの遊び声かと思ったが、次第に不気味な叫び声に変わっていった。私は思わず耳を澄ませた。何かが壊れる音、そして誰かの泣き声が重なり、背筋が凍る思いがした。
その日はちょうど、兄妹の父親が急に亡くなったと聞かされていた。葬儀は終えたばかりで、子どもたちがどう影響を受けているのか全く知らなかった。私は何か心配なことが起きているのではと感じ、隣の部屋に行くことにした。
ドアをノックすると、反応はなかった。再度、強く叩くと、やがてドアが開き、そこには高齢の男性が立っていた。彼は兄妹の祖父で、驚いた表情で私を見つめた。私が心配していることを伝えると、彼はただ「大丈夫だ」と言うばかりだったが、その声には不安の影が宿っていた。
その後、私は部屋に戻ったものの、気がかりな気持ちは収まらなかった。夜中、再び異常な音が響き、今度は「やめて、やめて!」という悲鳴が聞こえた。私は恐怖に駆られ、再度隣の部屋に向かった。祖父の様子を確認するため、彼の部屋のドアを開けると、そこには兄妹が無表情で立っていた。
「おじいちゃんはどこ?」と尋ねると、彼らはただ黙ってこちらを見つめ返した。背後からは不気味な笑い声が聞こえ、私は恐れおののいた。急いで部屋に戻り、警察に通報した。しかし、警察が到着するまでの間、私はその場に立ち尽くした。
警察が到着し、部屋に入ると、兄妹は何事もなかったかのように無表情で立っていたが、祖父の姿はどこにも見当たらなかった。警察が兄妹に尋ねると、彼らは「おじいちゃんはお出かけ中だ」と答えた。
警察が部屋を捜索した結果、結局祖父の行方はわからず、兄妹は心の病を抱えているのではないかと疑われた。後日、私が見たものはすべて夢だと片付けられたが、私はその光景を忘れることができなかった。
数日後、兄妹がマンションから姿を消した。彼らの部屋は空っぽになり、何もかもが消え去った。数ヶ月後に、近隣住民から「不審者」の目撃情報が寄せられた。その人物が兄妹を装って、近くの公園で奇声を上げていたというのだ。
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