
大学生の頃、友人と一緒に図書館に立ち寄った。外は冷たい冬の夜で、私たちは暖かい明かりの中で少しだけ心を和ませていた。図書館は古びた建物で、薄暗い通路が迷路のように広がっていた。
私たちは、古い書籍を探しながら、どんどん奥へ進んでいった。途中、ふと目に入った一冊の本に手を伸ばしたその瞬間、友人の声が聞こえなくなったことに気づいた。振り返ると、彼の姿が見えない。少し不安になりながら、私は書架の間を探し回った。
すると、薄暗い廊下の先に、一人の女性が立っていた。長い髪をかき上げながら、静かに何かを読んでいるようだった。好奇心から近づいていくと、彼女は私に気づくことなく、ただ本に目を向け続けている。
「友達を見なかった?」と声をかけたが、彼女は無反応だった。少しの間、迷ったが、何かを感じた私はその場を離れ、再び友人を探し始めた。だが彼の姿は見当たらず、代わりに不気味な静けさだけが周囲に広がっていた。
パニックになりながら、私は急いで図書館の入口を目指した。途中、さっきの女性の姿を振り返っても、彼女はもうそこにはいなかった。まるで消えてしまったかのように。外に出た瞬間、友人の姿を見つけ、ほっと胸を撫で下ろした。
その後、私たちは再び図書館に行くことにした。しかし、あの場所はもう見つからなかった。何年経っても、あの女性の記憶だけが私の心の中に残り続け、彼女の存在が私を支配しているように感じている。いったい、あの時の出来事は何だったのだろうか。私たちは本当に図書館にいたのだろうか。今でもその疑問が消えない。何が真実だったのか、ただ一つだけ確かなことは、あの女性の影が私の背後にいつもいるということだ。
私はただ、彼女のことを思い出すたびに、心がざわつく。彼女は本当に存在していたのか、それとも私の錯覚だったのか。全てが謎のままだ。
何度考えても、あの女性の影は私を離れない。
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