
これは私が大学二年生のときの話です。冬の寒い夜、暇を持て余していた私は、遠縁の叔父が営む古びた画材店で手伝うことに決めました。正直、叔父とは面識が薄く、噂では変わり者であると聞いていたため、少し不安でした。
駅で待っていた叔父は、私を見るなり「やあ、久しぶり!」と声をかけ、煙草の匂いが染み込んだ古い車に乗せてくれました。店に着くと、意外にも整然とした空間が広がっていました。壁には色とりどりの絵の具や、古い絵画が飾られ、思わず感心しました。
作業内容は、店の倉庫にある古い画材を整理し、不要な物を裏庭に運ぶことでした。倉庫は薄暗く、埃まみれでしたが、作業を進めるうちに不気味な静けさが漂ってきました。
作業の途中、私は隅に置かれた古ぼけたスケッチブックを見つけました。ページをめくると、若き日の叔父が描いた風景画が並んでいましたが、ひとつだけ異様な絵がありました。それは、知らない男女が描かれ、周りには不気味な影が写り込んでいたのです。
気になっていたその絵を閉じて作業に戻ると、叔父が戻ってきて、休憩を提案しました。私は思い切ってスケッチブックのことを尋ねました。すると、叔父は笑いながら話し始めました。「この絵はね、ある夫婦を描いたものなんだ。彼らは、かつての思い出を求めて旅をしていて、私に頼んできたんだ。」
その後、叔父は続けました。「その夫婦は、息子を亡くして悲しみに暮れていた。それで、私がその絵を描いたとき、何か変なものが写り込んでしまったんだ。」
私の背筋が凍りました。叔父はさらに続けて、別の絵を持ってきました。それには、先ほどの夫婦とともに、私と同じ歳くらいの男が描かれていました。「この男は、その場にいなかったんだ」と叔父が言いました。
私は震えながらも、その絵はただの家族の情景にしか見えませんでした。しかし叔父は「実は、この男の顔が、亡くなった息子と全く同じだった」と告げました。「それが、ただの偶然とは思えないんだよ。」
その瞬間、私の心は恐怖に包まれました。叔父が話を終えると、急に「さあ、飯でも食いに行こう」と言いました。
私は思わず窓の外を見ると、店の外に立つ誰かの影を感じました。それに気づいた叔父は、「あいつ、また見に来てるのか」と言いました。私はもう考えないことにしました。何が写っていたのか、何を見たのか、すべてを忘れようと決心しました。
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