
私の住む町には、「古い石像」と呼ばれる不気味な場所がある。母から聞いた話では、近所の人々はその石像を避けているという。これは、私たちがその場所に初めて足を踏み入れた時の記憶だ。
中学二年生の秋、私は友人の美咲と直樹とともに、学校帰りに公園に寄った。そこは長い間忘れ去られた場所で、草木が生い茂り、遊具は錆びついていた。美咲は「この公園、なんか気持ち悪くない?」と言った。私も同感だったが、好奇心に駆られて進んだ。
その時、道の奥に大きな石像が見えた。触れたくはないが、近づきたくなるような、何か引き寄せるものがあった。石像は、笑顔を浮かべた子供の顔をしていたが、目はどこか虚ろで、まるで私たちを見ているかのようだった。
「この石像、見たことある気がする」と直樹が呟いた。私も同じ感覚があった。私たちが近づくにつれ、周囲の空気がひんやりとし、背筋が寒くなる。石像の周りには何もないはずなのに、なぜか不自然な静けさが漂っていた。
その瞬間、私の足元で何かが動いた。驚いて目を向けると、黒い影が草の中から顔を出した。小さなヘビだった。体は細く、茶色い模様が縦に入っている。私は声を上げ、飛び退いてしまった。直樹と美咲も驚いて後退した。
ヘビはじっと私たちを観察していた。恐怖から目が離せず、体が硬直してしまった。目が合った瞬間、ヘビはすっと消えた。周囲を見回しても、その姿はどこにもない。私たちはしばらく呆然と立ち尽くしていた。
「今の、見たか?」と直樹が言う。「うん、でもどうして消えたの?」と美咲が返した。私たちの間に不安が広がる。あのヘビは、一体どこに行ったのか。
数分後、私は冷静になり、石像の方を再び見つめた。すると、石像の目が一瞬光ったように見えた。恐怖から思わず目を逸らすと、二人の友人が私の返事を待っていた。私は何も言えずにいた。
結局、私たちはその場を離れたが、心の中には不安が残った。帰りの道すがら、何度も振り返ったが、石像は静かにそこに立っていた。あの時見たヘビの黒い目が、一生忘れられない恐怖の記憶として私の心に刻まれた。
数年後、私はその公園の歴史を調べることにした。そこには「古い石像が人を誘う」という伝説があると知った。実際に、石像の周囲では失踪事件がいくつか起きているとのこと。あの時のヘビは、もしかしたら私たちを警告しようとしていたのかもしれない。
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