
私が女子高生だった頃の話です。
その時、私は近所に住む老婦人とたまにお喋りを楽しんでいました。友達と遊ぶ方が充実しているのですが、彼女には何か特別な魅力があり、月に一度程度顔を出すことがありました。彼女の部屋に上がると、いつもお茶を淹れてくれ、時には古い話を聞かせてくれるのです。
その日も、老婦人の部屋を訪れ、温かな紅茶を飲んでいました。
外は冷たい冬の夜、時計は午後8時を指していました。
会話が弾んだ頃、彼女は自慢の彫刻を見せてくれると言いました。
私にはそれが何か特別なものだとは思えませんでしたが、彼女は「これは亡き夫の姿だよ」と微笑んでいました。
その彫刻は高さが1メートルほどで、確かに人の形をしているものの、何か不気味な雰囲気を醸し出していました。まるで暗闇に溶け込んでしまいそうな、影のような存在に見えたのです。
老婦人は、夫が亡くなってからずっと彼のことを思い続けていると語りました。
彼女はいつも、「彼は美しい人だった」と言い続け、私にもその姿を見せるのが楽しみだったようです。
月日が流れ、私は高校を卒業し、彼女のことも次第に忘れていきました。しかし、ある日、彼女に会いたくなり、彫刻を見せてもらおうと決心しました。
次の日曜日、私は再び彼女の部屋を訪れました。
彼女は私を見て、「おお、元気そうだね!」と喜び、私を迎え入れてくれました。
玄関で少し話をした後、「今日は私の大切な彫刻を見せるわね」と言い、部屋の奥に持ち運んでいきました。
彫刻が運ばれてくると、私は思い出しました。以前見た時はただの影のような形だったことを。
しかし、今目の前にした彫刻には、明らかに助けを求めるような女性の顔が彫られていました。彼女は言いました。「彼は私を守ってくれているわ」と。
私はその瞬間、彼女の目の奥に恐怖を感じました。彫刻の女性は、全く美しくはなく、むしろ苦しむ表情を浮かべていました。
「彼女は美しいから、死後も美しかったのよ」と老婦人は言いました。
私にはその言葉が異様に思えましたが、何も言わずに「ありがとう、また来るね」とだけ告げ、その場を後にしました。
数ヶ月後、老婦人が亡くなったと聞きました。家から煙が出ているのを近所の人が見つけ、消防が駆けつけた時、彼女は冷たくなっていたそうです。
火事の原因は不明でしたが、彼女の家から出てきたのは、まるで彫刻が動き出したかのような影だったと、噂されていました。
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