
それは、同窓会のために訪れた廃校での出来事でした。
私たちはかつての母校の跡地に集まり、懐かしさを分かち合うつもりでした。しかし、校舎に足を踏み入れた瞬間、何かが違うことに気づきました。
「なんだか寒気がする……」
「大丈夫?この場所が懐かしいのかも。」
「多分、少し休めばマシになると思う。」
私たちが集まったのは、暗い廊下が続く和室のような教室でした。外は雪が降っているのに、校舎の中は妙にひんやりとしていました。まるで誰かが居るような、重い空気が漂っています。
同級生たちが談笑する声を聞きながら、私は一瞬の不安感を感じました。古びた教科書が無造作に積まれたその部屋に、誰かの視線を感じたのです。まるで、私を見張っているかのような。
その時、廊下からギシギシと音が聞こえてきました。
(誰かいるのかしら?)
音の正体を探ろうと廊下を覗くと、薄暗い廊下の奥に、髪の長い少女が立っているのが見えました。彼女は私をじっと見つめていました。
「えっ?」
驚いて声を上げようとした瞬間、彼女は無言で後ろに引っ込んでいきました。動揺しながらも、同級生たちのところに戻ると、彼らの表情が一変していました。
後日、帰宅してから調べると、その廃校では数年前に少女が自殺したことがわかりました。彼女は、教師にいじめられていた生徒だったのです。自ら命を絶った彼女は、今もこの校舎に留まっているのかもしれません。
私たちの不安でぎこちない同窓会の裏で、彼女は私たちのことを見守っていたのかもしれません。そして、彼女の痛みを聞くことができたのは、もう私たちだけだったのです。彼女が望んでいたのは、ただ一言の「大丈夫だよ」という言葉だったのかもしれません。彼女は今も、同じ場所でその言葉を待っているのかもしれないのです。
私たちが笑っている裏で、彼女の影はいつもそこにあるのです。
その時、私は思いました。廃校の中で一番怖いのは、見えないはずの影なのかもしれないと。
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