
それは1998年の冬の出来事だ。大学の試験期間中、僕は友人が泊まりに来ることを楽しみにしていた。しかし、その日は思わぬ出来事が待っていた。
僕は一人暮らしを始めてから、古びたアパートに住んでいた。そのアパートは、かつては賑やかな商店街だった場所に建っていて、今ではほとんどの住人が高齢者だった。周りは静まり返っていて、夜ともなると、風の音だけが響く。
その晩、友人が到着する前に少し横になろうとした。ふと耳を澄ますと、玄関のドアがカラカラと音を立てているのが聞こえた。友人が早く着いたのかと思ったが、すぐにおかしなことに気がついた。足音が全く聞こえないのだ。
アパートの静けさが異様で、心臓が急に高鳴った。玄関は鍵をかけていたはずだし、何かが間違っている。恐怖が胸を締め付け、体が硬直してしまった。
その時、僕は何かが入ってきたのを感じた。恐ろしいほどの存在感が、部屋の中に広がっていく。生の気配などではなく、何か異質なものがそこにいた。目には見えないが、心の中でそれがどれほど恐ろしい存在なのか、理解してしまった。まるで空中に浮かぶ黒い影のようだった。
息をひそめて、動くこともできずにいると、その存在は徐々に僕の方へ近づいてきた。ベッドの端に立ち上がり、耳元に何かを囁くような気配を感じた。まるで何かの呪文のような言葉が、耳をつんざくように響いてきた。
その瞬間、金縛りにあったように動けなくなり、恐怖で全身が震え上がった。やがて、その気配は消え、金縛りも解けた。気がつくと、汗だくになっていた。
その後、友人が到着し、何事もなかったように過ごしたが、あの夜の恐怖は忘れられない。あれは、悪霊や怨霊ではなく、この場所に住む何か、土地の神だったのかもしれないと思う。その後も何も起こらなかったが、もう一度あの存在に出会ったら、果たして生き延びることができるのだろうか。恐怖は今も心に影を落としている。
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