
私の実家は高層マンションの最上階にあり、周囲は都会の喧騒に包まれている。とはいえ、私の部屋から見えるのは隣のビルと、その向こうに広がる霧のかかった街灯の明かりだけ。
ある春の雨の晩、大学の友人を呼んで映画を観ていた時のことだ。リビングの窓越しに心地よい雨音が響く中、私たちはホラー映画の緊張感を楽しんでいた。
映画が盛り上がる中、突然、窓の外から「コツン」という音が聞こえた。まるで誰かが窓を叩いているような音だ。友達は気にしない様子だったが、私の心には不安が広がっていった。
「雨のせいじゃない?」友人がそう言ったが、私の耳には確かにそれが誰かの意図的な行為のように聞こえた。窓を開けて外を覗き込む勇気はなく、ただ音の発生源を探るように耳を澄ませた。
その時、ふと思い出したのは、数年前に見た奇妙なポスターのこと。マンションの廊下の壁に貼られた、異様な表情をした人形の絵。そんなものがある場所で、こんな夜に音がするなんて、まるで映画の一場面のようだ。
好奇心が勝り、私は友人に「ちょっと見てくる」と言って、窓の近くに近づいた。雨は強くなり、視界が悪くなっていたが、何かが気になっていた。部屋の明かりを消し、窓のカーテンを少し開けて外を覗いた。
その瞬間、また「コツン」と音がした。心臓が早鐘を打つ。窓の向こうには、薄暗い街灯の明かりの中に、何か白いものが見えた。ポスターに描かれていた人形のような影が、まるでこちらを見ているかのように感じた。
背筋が凍りつく。私は急いでカーテンを閉じ、友人に向き直った。「なんか、外に人がいるかもしれない…」そう言った瞬間、またしても「コツン」と音が響いた。今度は、私の部屋の窓を叩く音だった。
恐怖に駆られた私は、友人に警察に連絡するよう提案した。彼女は半信半疑だったが、私の顔を見て理解したのか、すぐに電話をかけ始めた。すると、次の瞬間、窓の向こうから聞こえた声が耳に届く。「見つけたよ…」その声は、まるで私の背後から聞こえてくるようで、私は目を見開いた。
「逃げて!」友人の叫び声が響き、私は思わず振り返った。すると、そこには誰もいなかった。振り向くと、部屋の中は静まり返り、ただ雨音だけが響いていた。私は再び窓に目を向けたが、そこには影すら見当たらなかった。ただ、湿った空気の中で、心臓の鼓動だけが響いていた。
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