
これは私が大学生だった頃の出来事です。
幽霊の話ではないのですが、今でも思い出すと背筋が寒くなる体験があります。
当時、私は高層マンションで一人暮らしをしていましたが、弟が中学校を卒業してすぐに、同居することになったのです。
弟は、受験を控えていて、精神的に追い込まれていたのかもしれません。そんな彼が、ある冬の夜に異様な行動をとりました。
その夜、私は深い眠りについていました。突然、「ドンッドンッドンッ」という鈍い音で目が覚めました。何だろうと思いながらも、再び眠りに戻ろうとしましたが、膀胱が張っていたため、仕方なくトイレに向かうことにしたのです。
真っ暗な廊下を歩き、静けさの中で用を足していると、音はいつの間にか消えていました。すっきりした気分で部屋に戻ろうとした瞬間、水分補給が必要だと考え、台所へ向かいました。
台所の扉を開くと、薄暗い調理場で弟が何かをしている姿が目に入りました。
深夜に何をしているのか疑問に思いながら、私は弟に声をかけました。「お前、何をしてるの?」
普通、深夜に声をかけられたら驚くものですが、弟は全く気にせず、作業を続けています。
嫌な沈黙が流れました。そして、彼が口を開きました。「この包丁さ、研いでも研いでも、全然鋭くならないんだよ。」
近づいて手元を見ると、彼は包丁を研いでいました。しかし、何故この時間に?不思議でたまりませんでした。すると、弟は包丁を逆手に持ち、冷蔵庫の方に振り返りました。
私も思わず冷蔵庫を見ました。そこで、目を疑いました。冷蔵庫の扉には、無数の穴が開いていたのです。弟は無言のまま、包丁を冷蔵庫に何度も突き立てていました。
「ドンッドンッドンッ」
ああ、この音は、弟が冷蔵庫を叩いていた音だったのか。何が彼をここまで追い込んだのか、考えると恐怖がこみ上げてきました。私の心の中で、言葉にできない不安が渦巻いていました。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



