
冬の夜、公園のベンチに座っていた私の隣には、不思議な趣味を持つ友人がいた。彼の趣味は、道行く人々の様子を観察することだった。最初は軽い気持ちで付き合っていたが、次第にその行為の背後に潜む恐怖を感じ始めた。彼は決して不審者にならぬよう気をつけていると言っていたが、何かが彼を変えてしまうのではないかと不安が募った。
ある晩、彼から電話がかかってきた。声は震えており、「見てはいけないものを見てしまった。目を逸らしていればこんなことにはならなかったのに…」と、繰り返す彼の言葉に不吉な予感がした。
「何があったの?」と問いただすも、彼の言葉は混乱しており、突然通話は切れてしまった。その後、数日間彼からの連絡はなかった。心配していた矢先、共通の友人から電話がかかってきた。「公園で彼を見かけたけど、ぼんやりとしていて声をかけても反応しなかった。何か変だよ。」
数週間後、彼から再び連絡があった。普通の声で、彼はあの日のことを話し始めた。「いつも通り人を観察していたら、影のように背後に女の人たちがいる男を見かけた。目が合った瞬間、何も覚えていない。」彼は気がつくと実家にいて、警察に保護されたと告げた。
それ以来、彼は人間観察をやめ、外出を避けるようになった。彼が見たのは、影の群れ、あるいは彼を取り巻く存在だったのかもしれない。私たちの目の前には、見てはいけないものが潜んでいるのだろう。彼の変化は、私にとっても恐怖の象徴となった。私もまた、薄暗い公園での観察をやめるべきかもしれないと考えるようになった。何かが、私たちの後ろにいる気がしてならなかった。
友人は、もう二度とあの公園には近づかないと決心した。私もその決断に従い、彼の教訓を胸に秘めて、冬の夜空を見上げることにした。そこには、ただの星々ではなく、見えない何かが潜んでいるのかもしれなかった。
そして、あの日の電話の内容が、私の心に深く残ることとなった。彼が見たものは、私たちの見えない世界の一部であり、その存在を知ることは、時に恐怖を呼び起こすのだと。
私たちの背後に潜む影を、もう一度見つめなおすべきなのかもしれない。
後日談:
後日談はまだありません。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。



