
冬の寒い夜、由美は転職に伴い、慣れ親しんだ故郷を離れ、家族で新しい街に引っ越してきた。夜の静けさの中、初めてのマンションの部屋を整えながら、彼女は不安と期待が入り混じった気持ちを抱えていた。そんな中、彼女が体験した恐怖の実話を語ろう。
「お母さん、あの赤いリュック、かわいいね!」
買い物から帰る途中、由美は通りすがりの子供に声をかけられた。その子供は、彼女の小さな娘、愛の赤いリュックを指さして笑顔を見せた。由美は心が温かくなるのを感じながら、家に帰ることにした。
帰宅すると、夫の達也から電話がかかってきた。彼は仕事で遅くなると言った。由美は愛を寝かしつけ、急いで夕食の準備を始めたが、何かが気になっていた。まるで誰かが見ているような、不安な気持ちが彼女を襲った。
その晩、由美は愛を寝かしつけた後、リビングでテレビを見ていると、ふと窓の外に目をやった。マンションの下に立つ影、そこには何かを待ち続ける人影があった。それは薄気味悪い感覚をもたらした。
「誰かいるの?」
恐る恐る声をかけるも、返事はなかった。由美は不安を感じながらも、無視することにした。しかし、その影はずっとそこに立ち続けていた。
数日後、由美は近くのショッピングモールへ行くことにした。愛を連れて買い物をする途中、再び見知らぬ影を見かけた。それは、先日見た影と同じだった。由美は心臓がドキドキしてきたが、冷静を保つよう努めた。
「今日は誰もいないよ、愛。」
愛に話しかけながら、由美はその影を無視して先へ進んだ。だが、影は彼女の後をついてきているような気がした。その日の帰り道、ふとふり向くと、影は消えていた。
しかし、夜が訪れると、またその影が現れた。由美は恐れを感じながらも、影に向かって叫んだ。
「誰なの?出て行って!」
その瞬間、影が一瞬で近づいてきたかと思うと、彼女の耳元で囁いた。
「私の子供を返して…」
驚愕した由美は、心臓が凍りついた。影は彼女の目の前で少しずつ姿を現し、赤いリュックを抱えた無表情の女だった。由美は逃げ出そうとしたが、固まって動けなかった。
「お母さん、どうしたの?」
背後から愛の声が聞こえた。振り返ると、愛が無邪気に立っていたが、その横には赤いリュックを持つその女性がいた。愛はその女性に向かって笑いかけていた。
「愛、そこに行っちゃダメ!」
後日談:
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