
冬の寒い夜、雪がちらつく中、父親は息子を迎えに行くことにした。古びたバス停に近づくと、街灯の明かりがぼんやりと雪を照らしている。
「行ってくるよ、待っててね」と言い残し、父は車を走らせた。息子の名前は大輝。いつもバスで帰ってくるが、今日は雪の影響で遅れているとのことだった。
バス停に着くと、他の親たちも待っている。何人かは傘を持っていて、心配そうにバスを見つめている。父もその中に加わり、待つことにした。
やがて、バスが到着した。大輝は友達と一緒に降りてきたが、顔色が悪く、どこか不安そうだった。
「大輝、こっちだ!」父は声をかけ、息子が近づいてくるのを待った。
「父さん、遅くなってごめん」と言いながら、息子は車に乗り込む。父は息子の雪で濡れた髪を優しく拭き取る。「今日は寒いから、温かいものを作って待ってるよ。」
「うん、ありがとう」と大輝は小さく答えた。
車が動き出すと、外の景色は雪に覆われ、静寂に包まれていた。
「父さん、あの時のこと、また思い出してた」と大輝がぽつりとつぶやいた。
「・・・ああ、あの日は特別だったね」と父も応じる。
数年前、大輝が友達と一緒に帰る途中、事故に遭った話を思い出す。あの時の雪の中、友達が一人亡くなった。
「どうしてあの子だけが助からなかったの?」大輝の目に涙が浮かぶ。父はその瞬間、息子の肩を抱きしめた。
「神様がいるなら、どうしてあの子を助けてくれなかったのか、今でも考えるよ」と言った。
そのとき、雪が静かに降り続け、車のウィンドウには冷たい水滴が流れる。
「大輝、またお墓参りに行こうか」と父は提案する。
「うん、行こう」と大輝は頷いた。
雪の夜、車は静かに進んでいく。
家に着くと、温かい光が漏れ出ていた。しかし、その光の中には、どこか寂しさが漂っているようだった。
あの事故以来、家は時間が止まったように感じられた。父は毎日、亡くなった友達を思い出しながら、息子を迎えに行くことを続けている。
願わくば、この家庭に平穏な日が再び訪れることを祈っている。
その夜、父と息子は静かに食卓を囲んだ。温かいスープと共に、大輝は友達の思い出を語り始めた。
「また、あの子を思い出しながら食べようね」と言ったその瞬間、父は涙を流した。
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