
大型書店に本を探しに行った時のことだ。
若い男性店員が古い書籍の整理をしていると、その真後ろに一人の女性が立っていた。
灰色のダウンジャケットを着た、ショートヘアの女性。
彼女はまるで店員の背中に張り付いているかのような距離感で、じっと見つめていた。
近くの棚から本を探している人がその背後を覗き込むこともあるが、彼女はそんなレベルではなかった。店員を見下ろすように、じっと見つめ続けている。
店員も、普通なら気づくであろう距離にいるにも関わらず、まったく反応しない。
何か気になり、しばらく観察していたが、ついに店員と目が合った。
「すみません!」
そう言って男性店員が横に移動した瞬間、背後の女性もまるで影のように続いて横に動いた。
「後ろの女性は……知り合いですか?」
思わず尋ねてしまった。
すると店員は驚きの表情を浮かべて言った。
「あ、もしかして、後ろにいるのは4年前に亡くなった友人かもしれません。」
その言葉に耳を疑った。店員は続けた。
「何度もお祓いを試みたのですが、やはり戻ってきてしまうんです。私には見えないのですが、他の人には見えるみたいで。」
店員は不安げな表情で話し続けた。
「私は彼女と特に親しいわけではないので、何を思っているのか全くわからないんです。」
その間も、女性は背後にしっかりと存在し続けていた。
その後、何度かその書店に足を運んだが、あの男性店員を見かけることはなくなった。果たして、あの女性は今も、どこかの店員の背後に寄り添っているのだろうか?
そのことを考えると、背筋が寒くなった。
今でも、あの影の正体は何だったのか、考えを巡らせている。
あの女性が誰かの背中に、今も寄り添っているのかもしれないと恐れながら。
それが本当の影なのだろうか?
恐れと共に、私は店を後にした。
その影が、次は誰の背後にいるのか、想像するだけで夜も眠れない。
後日談:
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