
冬の寒さが厳しくなってきたある晩、私は仕事帰りに高層ビルの屋上でランニングをしていた。明かりが少なく、風が冷たく感じる中、リズミカルに足を動かしていると、突然後ろから足音が聞こえた。誰か他のランナーがいるのかと思い、振り向いたが、そこには誰もいなかった。ただ、静寂の中に響く音だけが残っていた。気のせいだろうと再び走り出すが、足音は確かに続いていた。何かが自分を追いかけている、そんな恐怖が心に広がった。
次の日も同じように走り続けると、またしても後ろからの足音が聞こえる。振り向くと、今度は左の視界の端に、黒い影のようなものがちらついているのを感じた。「疲れているのかな?それとも風のせいか?」と考えながら、その影を無視し続けた。
日が経つにつれ、左目の視界はますます暗くなり、まるで黒いフィルムがかかっているような感覚に襲われる。視界の端に見えるものが増えていくのだ。細い黒い線が見え、それが少しずつ広がり、ついには全体がぼやけていく。
不安になり、眼科医院を訪れるが、医者は「異常なし」と言うだけだ。しかし、その帰り道、視界の左端にまた別の影が見え始めていた。細い黒い線が二本、三本と増えていく。日々、視界が狭まっていく中、体調も悪化し、肩に重い感覚が押し寄せていた。
そんなある日、大学病院での検査を終え、会計を待っていると、見知らぬ女性が声をかけてきた。彼女は優しい笑みを浮かべ、私の肩に手を置く。「その影、私が感じるには、あなたの肩に女性の霊がいるわ。彼女はあなたを見つめているの。」と告げる。
その言葉に驚きつつも、彼女は続けた。「彼女があなたの視界を奪っているの。あなたが無視している限り、このままではいけない。」その瞬間、背後の空気が冷たくなり、彼女の言葉が現実味を帯びてくる。果たして、このまま視力を失ってしまうのだろうかという恐怖が心を支配していく。彼女の言葉は、まるで闇の中からのささやきのように響いていた。私の視界を奪う黒い影は、もう逃れられないものなのかもしれなかった。
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