
長編
ついてきた女
やえぞー 2018年7月7日
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あまり怖くないかもしれませんが、
現在進行形かもしれない話です。
始まりは10年以上前の中学3年の夏に体験した話です。
当時住んでいた町には田舎の割に大きめの駅が有りました。
その駅のすぐそばに有る踏切には踏切の下をくぐる様に
4~5m程の短いトンネルが有り、
遮断機が下りてから電車の通過までやたらと時間のかかる踏切で有った為、
遮断機が下りたらトンネルを使い反対側に行くという使い方をすればいいのですが、
そのトンネルには霊が出るとの噂が有り、
地元の人間はさけていて、
ほとんどの人は時間がかかっても遮断機が上がるのを待っていました。
そんなある日、地元の夏祭りに友人と出かけ、
帰りがかなり遅くなってしまいました。
門限等は特になかったのですが、
自宅のカギを持っておらず、
締められると家に入れなくなる為、
急いで帰宅していると、
前述の踏切で遮断機が下りてしまいました。
どうしようか少し悩みましたが、
早く帰宅しなければならなかった為、
トンネルをくぐる事にし、
自転車で中に入りました。
ですが、中に入ってすぐに自転車のライトに照らされてトンネルの真ん中あたりでうずくまっている人が見えて驚き転倒してしまいました。
暗かったことも有り、男性か女性かまでは分りませんでしたが、
突然の出来事に恐怖を覚え、
倒れた自転車を慌てて起こしトンネルを抜けました。
あの人は何をしてたんだろう?と自転車を走らせながら考えていましたが、
駅の近くという事もあり、居酒屋や酒場が立ち並んでいるので、ただの酔っ払いだろうと自分に言い聞かせましたが、有る事に気づき恐怖が蘇ってきました。
トンネルを抜けて直ぐに後ろを振り返ったのですが、
遮断機が下りて上がるまでにかなり時間がかかるにも関わらず、トンネルを抜けると遮断機が上がっていました。
トンネル内でも電車の通った音や振動が無かった為、
とても恐ろしく感じました。
なんで?もしかして幽霊?などと考えていると、
坂道でもないのに突然自転車のペダルが重くなりました二人乗りしている時の感覚に近いものだった為、
さっきの人が後ろに乗っているのではないかと考えると震えが止まらなくなりました。
絶対に後ろを振り向かないように自分に言い聞かせ続けましたが、
時間が経つうちに確かめたい気持ちが強くなってきて
自宅の前の一本道にカーブミラーが2本有るのを思い出しちらっと確認するだけなら大丈夫だろうと考え、
カーブミラーで後ろに何かないか確認する事にしました。
1本目のカーブミラーを通り過ぎる際に素早く確認したのですが、自転車のスピードが出ていた事も有り、
良く分りませんでした。
2本目のカーブミラーが近づいてきたので、
今度はスピードを落とししっかりと確認したのですが、
見えた瞬間の事は今でも鮮明に覚えており、
同時に後悔しています。
カーブミラーに映った光景は自転車に乗る俺の肩に掴まって荷乗せ部分に立つ黒い服を着た女性でした。
その光景を確認すると自転車を乗り捨て、
走って家に向かいました。
幸い追いかけて来る気配もなかったので、
自宅に到着できたのですが、
家に鍵がかかっており、
近所迷惑等も考えずにものすごい勢いで玄関を叩き続けると祖母が出てきて、俺の姿を見たとたん、
『絶対に家に入るな! そこで待ってろ!』と言い放つと家の中から何か持ってきて思い切り投げつけられました。
後から確認すると塩でした。
あまり知らなかったのですが、
祖母は見えないが感じる体質らしく、
俺の姿を見て何かに取りつかれていると感じたらしいです。
自室に戻ると疲れからか直ぐに寝入ってしまいました。
何事もなく朝を迎えた為、
俺の見間違えか?それとももう終わったのかな?と考えていましたが、その後あの時以上の恐怖を感じる事になるとは思いもしませんでした。
トンネルの一件が有ってから数日後、
夜に友達と電話で話していました。
すると友達が
『お前、彼女家に呼んでるなら電話今度でいいよ』と急に言い始めました。
部屋には自分ひとりだった為、
『テレビの音だと思うから気にしなくていい』と言いました。
しばらく話し続けていると、
友達が『やっぱり誰かいるだろ?』と再度確認してきた為、
『誰もいないから! しつこい!』と強めに言ったところ『いや、だってさっきから電話口でねぇねぇってお前に話しかけてるでしょ?女が!』と言われました。
そういった類の冗談を言う友達ではない為、
とても気持ち悪くなってきて、
同時に数日前のトンネルの一件を思い出し怖くなりました。
なので、今日はもう止めよう明日学校で話そうという事になりその日は電話を切り、翌日学校でトンネルで有った出来事をその友人に話しました。
すると『俺の彼女の友達が見えるらしいから見てもらおう』と提案してきました。
俺は一刻も早く安心したかったので、その申し出を受け入れる事にしました。
後日、友人とその彼女そして霊感が有るという子が家にやってきました。
すると自室に通して直ぐに霊感少女が『いるよ この部屋にいる』と言いました。
どんなやつ?と質問すると『黒い服の髪が長い女』との事、
そこまでは友人に話した内容の中で説明していたので、まだ信じる事が出来ませんでしたが、
どこにそいついるの?と聞くと『ベットの枕元』と言いました。
俺の部屋のベッドの枕元には壁とベッドの間に人が入れるくらいの隙間が有るのですが、
めんどくさがりの俺はその隙間を数年放置していた為全然気にも留めていませんでした。
霊感少女が言うには部屋に入ってからずっとそこにいる。
全然出てこないからトンネルの件が有ってからずっといるのではないか?との事でした。
俺には全く見えませんが、
そんな事を言われるとさすがに怖くなって来たので、
なんとか追い払えないか相談しましたが、
見えるだけでお払いとかは出来ないと断られてしまいました。
友人たちが帰宅し一人になると、
ベッドの隙間がとても気になり始めました。
しかし塞いでしまうと何かされるんじゃないか?と不安になりそのままにしておく事にしました。
結局数日たっても霊的な現象なども何もなく、
友人たちにからかわれたんじゃないか?と考え始めましたが、年の離れた弟が俺の部屋に入る度にベッドの隙間を見ている事に気づいてしまいました。
聞きたいけど聞くのが怖かったので、
そのままにしていたのですが、
有る日、自室で弟とテレビを見ていると、
トイレに行きたくなったので、
席をはずそうとしたところ、
弟が『お姉ちゃんは行かなくていいんだよ お兄ちゃんはトイレだから』と急に言いました。
もちろん部屋には俺と弟の2人だけです。
しばらく固まってしまった後、
弟に確認しました『なぁ お姉ちゃんって誰?』
すると弟が『いつもあそこにいるお姉ちゃんだよ 兄ちゃんが台所とか他の所に行く時いつも一緒に行ってるよ』と言われました。
翌日すぐに親に頼みこみ物置になっていた部屋に移りました。
この一件から既に10年以上たちますが、
今でも自分について回っているのではないかと思う事が多々あります。
その他にも怖い思いをした話が沢山ありますので、
また機会が有りましたら投稿します。
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