
短編
青ざめた少年
匿名 2日前
chat_bubble 0
1,484 views
私が高校生だったときの話。
門限が決まっており、夜の8時までには家に帰るように言いつけられていた。
しかし、近所にできたコンビニにだけは夜の12時まで、行くことが許されていた。
私の家の前は坂道になっており、コンビニは坂を下りきったすぐのところ、家から徒歩で2分程度の場所にあった。
自転車で向かうことが多く、移動時間は片道で1分もなかったと思う。
ある日のことである。
私はいつも通り、自転車に乗ってコンビニに向かった。夜の11時くらいだったと思う。
家を出てすぐのあたりに少年が立っていた。
少年は私の方を振り返る。
その顔は青ざめており、目は大きめで口は少しばかり歪曲していた。
白いTシャツに紺のハーフパンツを着ており、挙動不審な様子できょろきょろとして、手足をパタパタとばたつかせ、何か尋常ならざる雰囲気を醸し出していた。
その風体にぎょっとした私は、良からぬ気配を感じて、その少年を振り切るべく、自転車のペダルを思いっきり漕いで、坂道を急いで下った。
すれ違う途中、少年と目が合った。
刹那ではあったが、少年の顔がニタッと笑うのが目に入った。
少年は後ろからパタパタと追いかけてきて、私は無我夢中でコンビニまで走り抜けた。
コンビニに着いて後ろを振り返ると、そこにはもう彼の姿はなく私は安堵したのだった。
幸いにも、帰りはその少年に出会うことなく、家に着いた。
明らかに様子のおかしな子だったので、近所の知的障がいなどがある子供が、真夜中に出歩いていたのかと思い、両親に質問してみたが、うちの近所にはそんな子供いないの一点張りであった。
あれから、あの子供と出会ったことは一度もない。
後日談:
- 青ざめたと表現しましたが、とにかく生気を感じない色でした。ほんとうに、白と青だけで表現できる、ゾッとするような顔色でした。
この怖い話はどうでしたか?
chat_bubble コメント(0件)
コメントはまだありません。