
秋の夕暮れ、村の外れにある古びた祠を見つけた。普段は気にも留めない場所だが、何かに引き寄せられるように足を運んでしまった。
この村には、祠がいくつも点在している。どれも年季が入っていて、地元の人々にとっては身近な存在である。だが、時折、村外から訪れる者たちがこの祠に興味を抱き、無造作に手を合わせる姿を目にすることがある。そういう人々は、ほとんどが地元の人の忠告を無視している。彼らは「ここは拝んではいけない」と警告されたことを耳にしているにもかかわらず、何かに引き寄せられるように祠の前に立ち、手を合わせてしまうのだ。
祠は、神様のような存在を称えるために建てられたものだが、実際にはその目的が不明なものも多い。中には、守られるべき存在でないものも含まれているのだ。特にこの村の祠は、由来がわからないものが多く、拝むことは避けるべきだと長年言い伝えられてきた。誰もが知っているその言い伝えにもかかわらず、見知らぬ旅行者たちは無邪気に祠の前に立ち、静かに手を合わせる。
「拝んではいけない」と言われているが、なぜか引き寄せられてしまうのだ。人々は、何かの気配を感じ取るように無意識に手を合わせる。だが、彼らがその場を離れると、まるで何かが呼び寄せられるかのように夜ごとに戻ってくる。戻ってくる彼らの顔には、明らかに異様な表情が浮かんでいる。
夜が訪れると、村は静まり返る。しかし、時折聞こえる低い歌声が静寂を破る。言葉は理解できないが、どこか心をざわつかせるような音色だ。村人たちは恐れを抱き、戸を固く閉じ、窓を閉ざす。私の家も、そうした村人たちの一員であった。
それでも、私の目は祠へと向いてしまう。毎晩、戻ってくる彼らの姿が見えた。手足が異常に長く、薄暗がりの中でうごめく影のような存在が、彼らの後ろに見え隠れしているのだ。それを見て、私はただ恐怖を感じる。助けることができないのだから、ただ見ているしかないのだ。
音は続き、夜を通して響き渡る。何かが肉を裂くような音、何かをすすっているような音が、私の安眠を奪う。どうにかしたいという思いは募るばかりだが、何もできない。そこに存在するものの正体を知ることが恐ろしいのだ。
そして、朝が来る。村人たちはみんな、目の下に大きなクマを作り、疲労困憊の様子だ。彼らは互いに慰め合いながら、昨夜のことを語り合う。誰もが心の奥底で感じているのだ、何かがおかしいと。祠のそばに、実際には何かが住み着いているということを。
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