
「――君は、来年の今頃、恐ろしい事件に巻き込まれるだろう。」
28歳の誕生日、会社の飲み会で占い師に言われた言葉が頭から離れなかった。仕事を終え、デスクに戻ると、隣の席に座る新入社員の女子が話しかけてきた。
「先輩、好きな人はいるんですか?」
その瞬間、占い師の言葉がよぎる。彼女に告白されたら、何かが起こるのではないかと恐れた。私は思わず首を振った。
「ごめん、ちょっと考えさせて。」
彼女は不満そうな顔をしたが、すぐに引き下がった。
「理由を教えてください。」
「理由は……色々あるんだ。」としか言えず、私はその場を離れた。彼女はしぶとく連絡してきたが、私は無視を決め込んだ。
そして、誕生日の前日、彼女からメッセージが届いた。
「明日、会社の後に飲みに行きませんか?」
その日は絶対に行きたくなかった。誕生日を迎えるその瞬間、また彼女が近づくのが恐ろしかった。だから、仕事が終わると、こっそりと帰宅した。
翌日、会社に行くと、同僚たちがざわめいていた。
「先輩、あの新入社員が……」
彼女が、ビルの屋上から転落したというニュースが流れた。
「彼女、最後のメールで、先輩と会いたいって言ってたよ。」
同僚の一人が言った。
「でも、どうして屋上にいたんだろう?」
その後、メディアは彼女を特集し、同情を引き起こした。私はただ、無力感に苛まれた。あの占い師の言葉が、現実になったのだ。
裁判は行われず、彼女は自殺として処理された。しかし、彼女が私に告白していたことは、誰も知らなかった。私の心には、占い師の言葉が重くのしかかり続けていた。彼女の告白が、運命を変えるきっかけになったのだと、私は今でも思う。
運命とは、時に残酷なものなのだ。何が本当に起こったのか、誰も知る由もなかった。彼女の存在は、私の心に深い傷を残したままだ。何も知らずに、ただ流されていく日々の中で。
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