
中編
『帰ってって言ってるよ。』
匿名 2017年2月11日
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私には付き合って四年になる彼氏さんがいる。性格も良くとても優しい彼は私には勿体無いくらいだ。
ただ一つだけ文句があるならば
一度も部屋に入れてくれないのだ
彼氏の家の前まで行ったことがあるのだが、入れてもらえずに帰された。
何か変な本でもあるの?とからかったりした事もあるが、何も教えてくれなかった。
今に至る大家さんと面識があったので鍵を借りて彼氏の部屋に入る。彼はいきなり入って来た私を見てあんぐりしている。
気になっていた部屋を見て見ると、変なものはない、、、と思いきや人形が一つある。
彼は怒ると思いきや、びっくりしたよと驚いてる。私も気になったからといってやり過ぎたと謝った。
そして、何気ない会話になった。昨日あったことの話だとこ、他愛ない話だけれど途中で気になって聞いてしまった。
「あの人形はなに?」
ただの人形だよ、ただ喋ってることが分かるんだ。だからたまに話してる。
「今なんて言ってるの?」
茶化すように言った。
彼氏は強張った顔で言った。
「こんばんはって言ってるよ。」
私は笑いながらこんばんはと返した
「帰ってって言ってるよ」
「帰ってって言ってるよ」
「帰ってって言ってるよ」
「帰ってって言ってるよ」
「帰ってって言ってるよ」
決して彼がふざけてない事が表情でわかる。私を憎むかのような顔で睨みつけてくる。
「帰れ!!帰れ!!帰れ!!」
言葉の変化と共に体が恐怖で逃げ出す。転ぶかの勢いで彼の家を出て逃げだしさらに逃げる。
だいぶ逃げて息が切れて走れない、だが逃げなくてはいけない。
彼はずっと後ろにいるのだ。私が逃げてる後ろをずっと追いかけてくる。
怖い怖い怖い
泣き出す寸前で私は自分の家に辿り着いた。全力で鍵を閉め、私は後ろを振り向くことさえも怖いくらいに恐怖していた。
何分かそこで過ごし私はおそるおそるドアののぞき穴から外をのぞくと、遠くに帰っていく彼の姿が見えた。
それから五日間彼と会わなかった。六日目会ったのは偶然だった。正直怖かったが彼はいつも通りに話しかけてくれた。
私はそんな彼に驚きながらも六日前の事を聞いてみた。だが、彼は驚いているだけで全く覚えてないらしい。
話し合った結果。私たちはあの人形を除霊してもらう事にした。しかし、霊力が強く除霊出来ない様な代物らしい。
あのまま置いていたらと考えるとゾッとする。人形は除霊師の方に引き取ってもらい、あの部屋には強力なお札を貼ってもらい二度とあの人形はあの部屋に戻ってこないらしい。
けれど、あれ以来あの部屋に「私」はいっていない。
あれから、一年近く経った「僕」はあれ以来何事もない。
彼女には感謝しても感謝しきれない。今日彼女の家で付き合って5年目を祝う。
そこで、僕は彼女に告白する。返事が怖くて5年も言えなかった。
昨日は緊張のあまり眠れなかった。
そして今に至る。
「結婚して下さい!幸せにします!!!」
彼女はゆっくりと口を開いた。
「帰ってって言ってるよ。」
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