
友人の話を聞いたのは、冬の寒い夜だった。彼女は、大学進学のために地元を離れていたが、久しぶりに帰省した際の不気味な体験を語り始めた。
彼女の故郷には、使われなくなった古い学校があった。その学校は、子供たちの遊び場として知られていたが、ある日、友人たちが遊んでいたとき、天井の梁に何かが書かれているのを見つけた。薄暗い教室の中、目を凝らすと、そこには「彼を連れて行ってくれて、ありがとう」と、無数の文字が刻まれていた。
数年後、友人は東京で生活を始め、ある日、いとこの妹が事故で亡くなったという知らせを受け、葬儀に帰省することになった。妹は、普段から友人に甘えていた明るい性格の少女だった。葬儀は悲しみに満ちていたが、友人はどこか冷静だった。なぜなら、妹はいつも元気で、彼女にとっては信じられない出来事だったからだ。
葬儀の後、友人は懐かしい思い出に浸りながら、学校の前に立ち寄った。思わず天井を見上げると、あの時見つけた文字がまだ残っているのを確認した。心の中に不気味な感情が沸き起こりながら、その文字を眺めていると、新たに書かれた文字が目に飛び込んできた。それは妹の字に似たもので、「彼を連れて行ってくれて、ありがとう」と再び書かれていた。
帰京する前に、妹の家に寄った際、冗談めかして「学校で何か変なことしてない?」と尋ねた。すると妹は、じっとこちらを見つめて、真剣な表情で「神様は本当にいるんだよ」と答えた。友人はその瞳に何か恐ろしいものを感じ、心の底から寒気が走った。何かが、彼女を待っている気がしたからだ。何が待ち受けているのか、彼女はまだ知らなかった。今後の生活が、どんな暗い影に飲み込まれるかを。
その後、友人は再びあの古い学校に近づくことはなかった。あの天井の文字は、彼女の心に永遠に刻まれたままだった。彼女の中で、その文字が意味する恐ろしい真実が、少しずつ明らかになっていくのを感じていた。
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