
ある友人から聞いた話です。
その友人の家は古い城の近くに位置していました。城は長い間放置されており、時折観光客が訪れるだけで、ほとんど人の気配がない場所です。特に冬の夜は、冷たい風が吹きすさび、静寂が広がります。
ある晩、友人は遅くまで起きていて、ふと耳にしたのは、城の方から聞こえる「うう、うう……」という声でした。まるで誰かが悲しみにくれているかのような、かすかなうめき声です。
不安になった友人は両親を起こしましたが、両親もその声を聞き取ることができました。しかし、周囲には何も異常は見当たりませんでした。それでも声は止まらず、まるで近づいてくるかのように響いていました。
恐る恐る窓から外を覗くと、城の方から一人の若い男がフラフラと歩いてくるのが見えました。男の服装は古いもので、まるで時代を超えてきたかのようでした。友人は何か不吉なものを感じ、声をかけることもできずに固まってしまいました。
その男は、顔を隠すように手を当て、涙を流しながら近づいてきました。そして、彼が言った言葉は、驚くべきものでした。「私はこの城の主だったが、家族を失ってしまった。生きる意味を見失い、城に閉じ込められている」と。友人の両親はその言葉に心を痛め、男を励まそうとしましたが、その瞬間、男は消えたのです。
その後、友人たちはその城のことを調べてみると、実際に数十年前にその城主が自ら命を絶ったという記録が残されていることに気づきました。しかし、そのすぐ後、近くの町で一人の若者が自ら命を絶つ事件が起きたと聞きました。あの男の声が、何かを警告していたのかもしれません。彼の悲しみは、今もこの城に残っているのかもしれません。
冬の夜の静けさの中で、古城の影は深く、何かが待ち受けているように感じられました。誰もその声の正体を知る者はいないのです。
そして、今もなお、城の周辺を通る者たちには、あのうめき声が響き続けているのかもしれません。
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