
私の家族は代々、思春期に特有の現象を経験する。幼少期を過ぎると自然に治まるが、幼い頃の記憶は今も鮮明だ。
それは冬の寒い夜、私の息子が中学に上がったばかりの頃だった。
彼は自分の部屋の隅に人形がいると言い出した。
最初は冗談かと思ったが、次第に彼はその人形が話しかけてくると言い始めた。
「どんな人形なの?」と尋ねると、彼は目を輝かせて答えた。「金色の髪で、青いドレスを着てる。すごく優しい顔をしてるんだ。」
私はその話を軽く流し、息子に「気にしなくていいよ」と言った。
だが、彼は毎晩その人形のことを語り続けた。「お母さん、彼女は寂しそうで、ずっとここにいるんだ。」
そのうち、私の心に恐怖が少しずつ芽生えてきた。
「彼女は何歳くらいの人形なの?」と聞くと、息子は即座に答えた。「23歳だよ。」それを聞いて私は背筋が凍った。
人形の年齢は子供には理解できない数字のはずだ。
彼がその人形を気に入っていることに私は安堵感を覚えつつも、どこか不安を感じていた。
数ヶ月後、私の家族に悲しい知らせが舞い込んだ。
私の父が亡くなったのだ。
葬儀の準備で葬儀屋に行くと、父の遺言に従って、彼が生前拒んでいた墓に行くことになった。
その墓の隣に、古びた小さな墓があることに気が付いた。
その墓は、私のいとこが小さい頃に亡くなったものだった。
突然、息子がその墓を指さしながら言った。「あの人形は、あの子のものだよ。」
私は息子の言葉に驚いた。
なぜ彼がそのことを知っているのか。
息子はさらに続けた。「彼女は、もう一緒にいる必要がなくなったんだ。お母さんが気づくのを待ってた。」
その瞬間、私は理解した。
人形の正体は、私のいとこの霊で、私たちの家族を見守っていたのだろう。
葬儀の日、私たちが墓を訪れると、息子はその人形を静かに置いた。「さよなら、もう大丈夫だよ」と呟いた。
それ以来、彼はその人形のことを口にすることはなくなった。
どこか穏やかな気持ちで彼を見つめながら、私もまた、この不思議な出来事を胸に秘めることにした。
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