
古びた団地に住む中学生の健太は、いつも周りの子供たちをいじめていた。彼の親も問題を抱えており、周囲の大人たちは彼を恐れていた。そんな健太が、ある日、いじめが原因で自殺者を出すことになる。彼の加害行為は地域に広まり、噂となる。
しばらくして、健太の様子が変わったという噂が流れ始めた。一人で呟いたり、突然笑い出したりする不気味な行動が目撃されたのだ。私たちは彼に関わることを避け、距離を保っていた。
そんなある晩、仕事帰りに団地の前を通ると、健太が何かに追われるように走ってくる姿を目撃した。驚いて立ち止まると、彼は私の方に向かって「おばさん、助けて!」と叫んだ。彼の顔は恐怖に満ちており、震えながら私の後ろに隠れたが、背後には何も見えない。
その異様な光景に戸惑っていると、健太は再び「やめて! あの子が来る!」と叫び、何かに恐れをなして川の方へと走り去った。私が目にしたのは、彼の背中に一瞬見えた小さな影だった。まるで彼の背後に誰かがしがみついているかのようで、心の奥に不気味なものを感じた。
その後、川で事故が起こり、健太は命を落とした。彼は追い詰められ、逃げ場を失い、川に飛び込んだのだろう。あの時見た小さな影が、もしかしたらいじめの対象だった子供なのかもしれない。
彼の叫び声に聞こえた「アスカ」は、きっと自殺した飛鳥くんのことを指していたのだ。後に聞いた話では、飛鳥くんの遺書には「自分のしたことは必ず返ってくる」と書かれていたという。健太の最後が、復讐の連鎖の中に埋もれているように思えてならなかった。恐怖は、時を超えて繰り返されるのだと。彼の悪夢は、今も団地のどこかで続いているのだろう。
その日から、団地は静まり返り、誰も健太のことを語らなくなった。彼の行いは消えない影となり、私たちの心にいつまでも残り続けるのだ。
私は考えた。果たして、あの小さな影は本当に彼を追い詰めたのか、それとも彼自身が生み出した恐怖だったのか。
そして、川の水は冷たく流れ続けている。
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