
長編
吊るも這うも轢かれる。
匿名 3日前
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門。門は開いていたのだが、そこから手がでてきた。
さっきの女の手だ。ナイフを握っている。もう片方の腕もでてきた。
次いで、頭。首にはロープ。白い服。見開いた目。垂れた舌は地面を舐める。
僕はSに助けを求めようとした。しかし、声が出ない。身体が動かない。金縛り。
Kも同じらしかった。どうしよう。こっちにゆっくり這い寄ってくる。足は動いていない。手だけで。地面を、ずるずると。
怖い、それに近い。怖い怖いこわい近っ。
這い寄る女と僕らの距離はもう2メートルも離れてなかった。あ、もう駄目かも。
本気でそう思った。
突然、光が目に眩んだ。
エンジン音とブレーキ音。気がつくと、僕らが乗っていた車が目の前にあった。
金縛りがとけ、身体が動く。
身体は動いたが、僕はしばらくその場を動けなかった。
ウィーンと運転席側の窓が開き、Sの眠たそうな声が聞こえる。
「おいお前ら、もういいだろ。雨が降ってきたからもう帰ろうぜ。」
僕とKは顔を見合わせた。
おそるおそる、車の下を覗くがそこには何もいない。
「こいつ・・・・」
Kが呟く。
「・・・轢きやがった。」
「あん?あぁ、そういや妙な手ごたえがあったな。でかいカエルでも潰したか?」
僕は、何も言えないでいた。KもSをまじまじと見つめるだけだった。
そんな僕らに、Sは怪訝そうな顔を見せ
「どうしたお前ら。なんかあったか?・・・ま、何を見ても聞いてもだ。そりゃ、幻覚に幻聴だ。ほら、乗れ。もう帰るぞ」
僕とKはもう一度顔を見合わせ、お互い何も言わずに車に乗り込んだ。
それは、蛙とコオロギの鳴き声が響く。夏もおわりかけたある夜の出来事だった。
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- 小説みたいな語り口調やな 文才はあるであ
- 何もなくて良かったね俺氏
- 事故で足が動かなくなった sがのっていた車で女を引いた=事故talu
- 文章書くのが上手すぎる!めっちゃ面白い!飽きない!しかも怖い!もっといろんなこと投稿してほしいです!りこ
- 天才ヤバイ-w-wあり
- すげーまじかみ 天才だわウェイウェイ↑
- ↓↓↓ 車のライトって わかるよね?K
- ↓↓↓ 車のライトって わかるよね?K
- どうやって、ひかりがめにくらむのかな?夢幻
- 怖面白ーい!まっぴー