
俺は今、廃墟のビルの前に立っている。友人と待ち合わせていたはずだが、誰も来ない。
"おい、待ってるぞ!"と声をかけても、返事はない。少し不安になり、周囲を見渡すと、薄暗いビルの中に何か動く影が見えた。興味本位で中に入ってみることにした。
ビルの中は静まり返っていて、冷たい空気が肌を刺す。真っ暗な廊下を進むと、古いカメラが落ちていた。"これ、誰のだ?"
一瞬、周囲がざわめくように感じた。まるで誰かに見られているかのようだ。
"何か、変だな…"と思いながらもカメラを拾い上げ、シャッターを押す。パシャリ。
その瞬間、背後から冷たい風が吹き荒れ、目の前の壁に何かが映し出された。白い影、そしてその中にうっすらと見える人の顔。
驚き、後ろを振り向くと、誰もいない。と、次の瞬間、耳元でかすかな声が聞こえた。"助けて…"
恐怖に駆られ、逃げ出そうとしたが、足がすくんで動けない。再びカメラのシャッターを押すと、今度はその映像に女性が映り込んだ。その顔は、さっきまで俺が待っていた友人に似ていた。
"冗談だろ…"と思いながらも、やはり逃げることができず、ただその場に立ち尽くしていた。
カメラのレンズを通して見る景色はどんどん不気味になり、影が次第に近づいてくる。恐怖で心臓が高鳴り、思わず目を閉じてしまった。
目を開けると、廃墟のビルは消え、俺は真っ白な空間に立っていた。手には相変わらずカメラがある。
"これが俺の運命なのか?"と呟くと、また耳元で"助けて…"の声が響く。
そして、カメラのレンズを通して見た最後の映像は、必死に助けを求める友人の姿だった。
その瞬間、カメラが手から滑り落ち、パリーンと音を立てて割れた。何かが崩れ落ちる音がした。そして、全てが静寂に包まれた。
俺はそのまま、廃墟のビルの前に立ち尽くすことになった。そこには、ただ無惨に壊れたカメラの破片だけが残されていた。
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