
古い図書館の奥深く、埃をかぶった書籍の山に埋もれていた一冊の本。それは、かつての恐怖を記録した文献であり、今はただの忘れ去られた存在となっていた。冬の夜、若い図書館員の美咲は、書架の整理をしている最中に、何か不気味な気配を感じた。
その本には、古いフィルムが挟まれていて、見たことのない映像が映し出されていた。だがその画質は異常に悪く、モザイクのようにぼやけていた。興味本位でそれを再生すると、画面から不気味な気配が漂ってきた。
美咲はその映像を何度も見返したが、いつもと違って心のどこかが重く感じた。映像の中の不気味な影が、彼女をじっと見つめているような気がした。恐怖を感じつつも、彼女はその映像を保存し、後で他の資料と一緒に研究しようと考えた。
数日後、同じ図書館に訪れた研究者の佐藤は、その映像を見て驚愕した。「この映像には、特別な呪いがかかっている可能性がある」と言った。美咲は驚きながらも、佐藤にその理由を尋ねた。
「劣化した映像は、単なる情報の欠落じゃない。多くの人がそれを見て恐怖を感じれば感じるほど、その映像には呪いが蓄積されるんだ」と彼は続けた。佐藤の話によれば、映像や画像は観る者の感情を吸収し、それが時間と共に力を増すというのだ。
美咲はその言葉を信じられずにいたが、心の奥底では何かが恐れていた。彼女はその後、映像を他の図書館員に見せることをためらった。すると、ある日突然、同僚の一人が精神的に不安定になり、図書館に来なくなった。
「映像に何かが憑いているのではないか?」そんな疑念が美咲の中で膨れ上がる。彼女は再度その映像を見直し、背後に映る影が徐々に明確になっていくのを感じた。恐怖に駆られた彼女は、その映像を削除することを決意した。
しかし、削除してもその影は消えなかった。むしろ、彼女の周囲で奇妙な現象が起こり始めた。図書館の本が勝手に開いたり、誰もいないはずの書庫から声が聞こえたり。美咲はその恐怖に耐えられなくなり、図書館を辞めることを決意した。
最後の夜、彼女は図書館の一角でそのフィルムを再生し、呪いの核心を探ろうとした。しかし、映像の中に彼女自身の姿が映り込んでいるのを見つけた瞬間、彼女は強烈な恐怖に襲われた。彼女が見たのは、自分の背後に立つ、あの恐ろしい影だった。
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